NECが発売する薄型のGSM端末「e949」
NECが発売する薄型のGSM端末「e949」
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上筐体,下筐体それぞれ5mm〜6mmという薄さである
上筐体,下筐体それぞれ5mm〜6mmという薄さである
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カメラ・モジュールの出っ張りはヒンジ部に収めた。手前のコの字型の部分がアンテナである
カメラ・モジュールの出っ張りはヒンジ部に収めた。手前のコの字型の部分がアンテナである
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操作パネル部。ボタン,キー・シート,回路を一体成形した薄型のモジュールを開発し採用している
操作パネル部。ボタン,キー・シート,回路を一体成形した薄型のモジュールを開発し採用している
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 NECは2005年9月21日,厚さ11.9mmと「折り畳み型としては世界最薄」(同社)のカメラ付き携帯電話機「e949」を発表した(Tech-On! 関連記事1)。2004年2月に発表したカード型携帯電話機「N900」(Tech-On! 関連記事2)よりも一段と高度な薄型実装技術を適用した。

8層基板に論理回路とRF回路を両面実装

 プリント配線基板は,N900の片面実装の6層基板だったが,e949には両面実装の8層基板を採用した。「e949ではN900より大型のLiイオン2次電池を内蔵したこともあり,N900より狭い実装面積に回路を配置する必要があった。そのため両面実装の8層基板を採用した」(NEC 生産技術研究所 主任研究員の小野寺隆夫氏)。基板の厚さはN900が約0.46mm,e949が約0.55mmである。

 e949ではこのプリント配線基板を用い,片面に論理回路,もう片面にRF回路を搭載して筐体に組み込んでいる。回路を構成する部品の高さは,論理回路が約1.7mm~1.8mm,RF回路が2mm程度である。Liイオン2次電池は,N900では特注品を内蔵していたが,e949には汎用品を採用している。電池容量は非公表だが,連続待ち受け時間は約140時間,連続通話時間は約140分と「実用に堪えうる電池の持ちを確保した」(小野寺氏)。

ステンレスと樹脂を一体成形し強度を確保

 e949の筐体はポリカーボネートにガラス繊維を混ぜた複合材料と,薄いステンレス鋼板を部位により使い分けている。「ステンレス鋼板は主に内側で用いている。それを外側から包み込むように樹脂を配置している。強度はステンレス鋼板だけでも確保できるものの,そうすると例えばポケットの中に長時間入れたりした際に,筐体が数十μm単位でたわむ可能性がある」(小野寺氏)。そのため,板金加工したステンレス鋼板を金型の中に入れた状態で樹脂を射出し,一体成形する工法を採った。こうすることで,強度と復元性の高さを確保したという。e949の開発段階では筐体を複数の素材で試作したが,Al合金では応力に耐えられず筐体が変形する恐れがあり,Mg合金ではポリカーボネート系の樹脂と大差ない程度の厚さになってしまうため,最終的にステンレス鋼板と樹脂の一体成形法を採用した。

 130万画素のカメラ・モジュールについては,それ自身の高さが10mm近くあり筐体内に収めることができない。これについては,上筐体と下筐体をつなぐヒンジ部に配置することで出っ張りを最小限に抑えた。筐体のこれ以外の部分については,「部位によっても異なるが,おおむね5mm~6mmの厚さ」(小野寺氏)としており,上下の筐体を合わせて幅47.9mm×高さ101.5mm×厚さ11.9mmという外形寸法を実現した。容積は約58mm3,重さは約96gである。

 同社では,高機能の携帯電話機は日本国内で,低価格で大量生産する機種は中国を始めとする海外拠点で製造している。e949については,静岡県内のNECアクセステクニカの工場が製造を担当する。