図1 新ブランド「BRAVIA」の液晶テレビ。写真はハイエンド品「Xシリーズ」
図1 新ブランド「BRAVIA」の液晶テレビ。写真はハイエンド品「Xシリーズ」
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 ソニーは,フラットパネル・テレビの新ブランド「BRAVIA」を冠した46インチ型の液晶テレビや50インチ型のリアプロなど合計8機種を発表した(発表資料,図1)。液晶テレビは表示できる色再現範囲がNTSC規格比91%と高いこと,リアプロは暗所コントラスト比が従来比で約4倍に向上したことなどを特徴として打ち出している。2005年10月1日から順次発売する。国内の33インチ型以上の大型液晶テレビ市場において,「30%のシェアを獲得する」(同社)という目標を掲げる。

 液晶テレビは,ハイエンド品と位置付ける「Xシリーズ」,普及価格品とする「Vシリーズ」「Sシリーズ」の3種類ある。Xシリーズは,画素数が1920×1080の液晶パネルを搭載して画像の精細度を高めたほか,「QUALIA 005」に搭載していた画像処理エンジン「DRC-MFv2」を採用した。DRC-MFv2はXシリーズにするに当たり改良を加えているとする。いずれの品種も,ソニーと韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が合弁で設立した液晶パネル製造会社の韓国S-LCD Corp.で製造するパネルを搭載する(Tech-On!の関連記事1)。

CCFLの材料を見直し

 色再現性は,冷陰極蛍光管(CCFL)の蛍光体材料を見直して深い赤色や濃い緑色を表現できるようにしたり,表示色を広い色再現範囲にあわせて変換しても色ずれしないような技術を用いたりすることで高めることができた(図2,図3)。色変換には,QUALIA 005で培った技術を応用している。なお,QUALIA 005は赤色(R),緑色(G),青色(B)の発光ダイオード(LED)をバックライトに使い,NTSC規格比105%の色再現範囲を得ていた(同関連記事2)。

 今回の液晶テレビの画面寸法と市場推定価格,発売時期は次の通り。Xシリーズは46インチ型が65万円前後,40インチ型が55万円前後,2005年11月20日に発売する。Vシリーズは40インチ型が43万円前後,32インチ型が31万円前後,同年10月20日に発売する。Sシリーズは40インチ型が41万円前後,32インチ型が29万円前後,同年10月1日に発売する。なお,VシリーズとSシリーズは,主に筐体のデザインが異なる。

 リアプロは,50インチ型品と42インチ型品をそろえた(図4)。「Eシリーズ」と名付けた。0.73インチ型の透過型液晶パネルをRGB用にそれぞれ1枚,合計3枚使う。画素数は1280×720。液晶パネルからの画像を合成するプリズムと,映像を投影するために拡大するレンズの間に絞り「アドバンスト アイリス」を搭載し,映像のシーンによって絞りの開度を変える。こうすることで,暗所コントラスト比は同社従来品比で約4倍に高まったという。

 暗所コントラスト比の数値は明らかにしなかったが,今回の液晶テレビの同比1300対1よりも,今回のリアプロは高いという。プリズムとレンズの間に設けた絞りの開度をシーンによって変更する技術を,ソニーは2005年2月に発売したリアプロ「QUALIA 006」で採用済みである。今回はこの技術を応用したもの。Eシリーズの市場想定価格は,50インチ型が40万円前後,42インチ型が33万円前後である。2005年10月20日に発売する。

図2 色の表現能力を比較。左側がソニーの今回の液晶テレビ,右側が他社製品
図2 色の表現能力を比較。左側がソニーの今回の液晶テレビ,右側が他社製品
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図3 CCFLの発光スペクトルの比較。今回は,赤色の発光ピークが700nmと,従来に比べてかなり長波長側にある
図3 CCFLの発光スペクトルの比較。今回は,赤色の発光ピークが700nmと,従来に比べてかなり長波長側にある
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図4 リアプロの比較。左側が他社の47インチ型品。右側がソニーの50インチ型品
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