米Air Products and Chemicals社は,2005年8月末に米国南部に上陸した大型ハリケーン「カトリーナ」の影響で,ルイジアナ州ニュー・オーリンズにある工場を閉鎖した。操業の再開時期は不明。電気やガス,水道,通信といったインフラの復旧時期次第という。同工場では,シリコン・ウエーハの製造に使う水素を生産しているため,工場の閉鎖によって「世界各地の半導体の生産が影響を受ける恐れがある」(同社)としている。

 同社は以前から,カナダにある液体水素を製造する工場の閉鎖を決めている。ニュー・オーリンズ工場が操業を再開する前に,カナダの工場が閉鎖時期を迎える見通しだ。そのため同社は,長期間にわたって本来の水素供給量を生産できなくなる。

 対策としては,水素を製造する他社が,不足分を補うために生産量を増やしている。その一方で半導体メーカーは,代替浄化技術を採用し始めており,これによってシリコン基板にエピタキシャル膜を沈着する際に低グレードの水素ガスを使えるようになる。