MXCアーキテクチャに基づく第1世代品「MXC275-30」の概要
MXCアーキテクチャに基づく第1世代品「MXC275-30」の概要
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MXCアーキテクチャで構成した高機能端末の構成例
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MXCのブロック図の概要
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MXCのロードマップ
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 フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは,携帯電話機向け通信プロセサとして開発を進める「MXCアーキテクチャ」の最新状況について明らかにした。MXCアーキテクチャに基づく第1世代品「MXC275-30」は現在サンプル出荷を始めており,2005年末にも量産出荷を始める。2006年にMXC275-30を採用した携帯電話端末が登場する見通しという。2005年9月8日に開催した技術セミナー「フリースケール・テクノロジ・フォーラム・ジャパン 2005」で語った。

 MXCアーキテクチャは,通信プロトコルにおけるレイヤ1からレイヤ3までの処理を,DSPコア「StarCore」だけでまかなうもの。ベースバンド処理を担う既存の通信プロセサは一般に,DSPコアとCPUコアの両方を搭載し,処理を分担しあっている。このため高機能端末では一般に,アプリケーション用ソフトウエアを実行するためのアプリケーション・プロセサを外付けする構成が採られている。MXCアーキテクチャでは通信処理をStarCoreだけでまかなうので,MXC275-30に集積するCPUコア「ARM11」でアプリケーション処理まで実行できる。このためアプリケーション・プロセサを外付けすることなく高機能端末を実現できるとする。

 MXC275-30で動作する通信ミドルウエアは現在,GSMおよびGPRS/EDGEに対応品の開発を終えている。現在は第3世代携帯電話に向けた開発を進める。W-CDMA方式に対応可能となるMXC300-30は,2006年中の量産開始を目指す。

 1チップでベースバンド処理とアプリケーション処理をまかなうMXCアーキテクチャのコンセプトは,NTTドコモが推す携帯電話機向けLSIに似ている。ルネサス テクノロジや米Texas Instruments Inc.(TI社)が開発を進めるものだ。米Freescale Semiconductor,Inc.社は「ルネサス テクノロジやTI社の1チップ品に比べて,チップ面積や消費電力などの点で優位性が得られると考える。ルネサス テクノロジやTI社の1チップ品では,アプリケーション用CPUコアに加えて,通信プロトコル処理の部分に向けてDSPコアとCPUコアの双方を集積しているためだ」と述べる。

 MXCアーキテクチャは,ドイツInfineon Technologies社やTI社などが手掛ける「1チップ・ケータイ」とは別のカテゴリーのものである。Infineon 社らの1チップ・ケータイは,通信プロセサとRF回路を1チップに集積したもの。Freescale Semiconductor社はRF回路の統合について「RFチップをMXCチップと1パッケージに格納するSiPの開発を検討している」とした。