図1 ソニーが提唱するロケーション・フリー
図1 ソニーが提唱するロケーション・フリー
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図2 パソコンでもテレビ番組の視聴が可能に
図2 パソコンでもテレビ番組の視聴が可能に
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 「まずはロケーション・フリーという考え方を広めたい」(ソニーマーケティング ホームネットワークプロダクツマーケティング部 統括部長の田中良則氏)——。ソニーマーケティングはテレビ・チューナや無線LAN機能を搭載した映像配信装置「LF-PK1」を発表した。家庭にあるテレビ・アンテナやハード・ディスク装置(HDD)内蔵DVDレコーダなどと接続して使う。これにより無線LANやインターネットを介して,テレビ・チューナを搭載していないパソコンでも放送番組を視聴できる仕組みだ(図1)。

 同社はこの装置を「ロケーションフリーベースステーション」(以下,ベースステーション)と呼んでおり,これまでに発売していたネットワーク機能付き液晶テレビのエアボード「LF-X1」でも利用していた。対応する無線LANはIEEE802.11aとIEEE802.11b,IEEE802.11gの3つ。2005年10月1日から販売を開始する予定である。価格はオープン価格としながらも,販売想定価格は「3万3000円程度」(ソニーマーケティング)を見込む。

 新製品の特徴は2つ。「インターネットを介してパソコンでも放送番組を楽しめること」,「セットアップの手順を簡単にしたこと」である。従来はネットワーク機能を備えた専用端末でしか放送番組を楽しむことができなかったが,新製品ではパソコンでも視聴できるようにした(図2)。テレビ・チューナを搭載しないパソコンでも,今回新しく用意したソフトウエア「LFA-PC2」をインストールすれば,インターネットを介してベースステーションに接続して番組を見ることができる。ベースステーションに接続できるパソコンは最大で4台。事前に接続を許可するパソコンを登録しておく必要がある。こうすることで不特定多数のユーザーがベースステーションから映像を受信するのを防ぐ。なお,同時に複数のパソコンからベースステーションに接続することはできない。

 LFA-PC2をインストールしてからベースステーションへの登録作業も画面案内に従って,わずか数クリックで済むように手順を簡素化した。従来はIPの設定などをユーザーが自ら行わなければいけなかった。LFA-PC2も2005年10月1日から販売を開始する予定で,価格は2000円前後を見込む。

将来は携帯型映像端末も


 ソニーマーケティングは2005年度内にロケーション・フリーをうたう対応製品を2機種,市場に投入する予定である。「通信機能と表示機能を備えている機器であれば,外出先であってもいつでもどこでも家庭と同じコンテンツを楽しめるようになる」(ソニー ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー ビデオ事業本部 LFX事業室 事業室長の前田悟氏)。将来的には携帯電話機などへの配信も狙っているようだ。

 今回の製品は第1弾であり,パソコン・ユーザーが主なターゲットだが,次のステップとして「携帯型ビューワなどを使った映像端末など,パソコン・ユーザー以外を狙った商品展開も検討しており,それが投入されれば市場は急拡大する」(ソニーマーケティングの田中氏)と期待を込める。