組み込みデータベースの動きが活発,PDA・モバイルソリューションフェア2005から
東京国際フォーラムで開催された「PDA・モバイルソリューションフェア2005」(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム,MCPC主催)では,40社近い出展社が携帯端末を用いた業務システム構築向けの製品およびサービスを展示した。
「モバイルソリューションフェア」,つまり業務システムを主対象とするイベントであるにも関わらず,会場を回っていると組み込み機器向けソフトウエア開発の話題もよく耳にする。例えば,携帯電話機向けの業務ソフトウエア開発ツール「ル・クローン」を,デジタル家電のアプリケーション開発に使う例が出てきているという。
このイベントで感じたことは,市販のデータベース管理ソフト製品を組み込み機器に適用しようという提案が多かったことだ。「ここ3カ月ほどで,日本国内でも組み込みデータベースに対する関心が急速に高まっているのを感じる」(エンサーク社長の湯本公氏)。
携帯電話機対応ル・クローンに人気,組み込みへの適用も
展示会場で人気を集めていたのは,携帯電話機などをターゲットとする開発ツール「ル・クローン Mobile」(ソアシステムズ)である。「ル・クローン」は,簡単な操作でGUIとデータベース管理機能を備えた業務アプリケーションを開発できるツールで,元々はパソコンによる業務アプリケーション向けに作られた。開発環境「ル・クローン Mobile Developer」と,実行環境「ル・クローン Mobile Agent」から成る。実行環境のサイズは150Kバイト程度と小さい。この7月にBREW環境に対応した製品を出荷開始して話題となった。2005年10月ごろをメドに,Symbian OS対応版を出荷する計画だ。
BREWやSymbian OSは,Windows CEなどに比べると開発ツールの選択肢が乏しく,その点から同ツールには関心が集まっている。さらに,業務アプリケーション開発だけでなく組み込み機器開発に適用した例もあるという。「データベース管理機能だけを取り出して,組み込み機器に採用した事例も出てきた」(ソアシステムズ)。
エンサークの組み込みDB,C言語を中間言語に使う
エンサークは,同社が販売する「ENCIRQ Data Foundation Framework」の概要を講演した。フットプリントが最小で24Kバイトと小さく(詳細は後述),開発環境やデータベース機能に特色がある。京セラのPHS電話機AH-K3001V(いわゆる「京ぽん」)のアドレス・ブックや構成情報管理に採用されている。
同製品は,開発手順に特徴がある。(1)PL/SQL言語(Oracle社のデータベース製品で使われるSQL拡張言語)でデータベース検索アプリケーションを書き,(2)C言語ソース・コードに自動変換してコンパイルし,(3)データベース・エンジンやアプリケーション本体とリンクして,(4)必要な機能だけをリンクした実行ファイルを生成する。
このような開発手順を採用した結果,例えばデータベースの「日付型」が不要な場合にはリンクしないなど,実行ファイルの最適化が可能となる。これにより,実行ファイルのサイズが極めて小さくなるという。データベース・エンジンのフットプリントは最小で24Kバイト,通常30Kバイト程度という。また,データベース・エンジンをアプリケーションに直接リンクするため,データベース管理機能のプロセスを起動したり,プロセス間通信を実行するオーバーヘッドが発生しない。C言語のソース・コードを中間形式として使うという性格上,OSにほとんど依存しない特徴を持つ。したがって対応するOSも幅広い。
このほか,同製品にはストリーム・データをファイルなどにいったん格納しなくても直接操作できる機能を備えていて,この点も1つの特徴になっている。
SQL AnywhereのSymbian OS版を展示
アイエニウェア・ソリューションズは,組み込み向けデータベース「SQL Anywhere Studio」を展示した。この製品に含まれる組み込みデータベース製品「Ultra Lite」は,DLL(ダイナミック・リンク・ライブラリ)形式で150Kバイトと小さい点が特徴。DLLなので,プロセス起動と通信のオーバーヘッドがない。対応するOSはWindows CE,Palm OSなど。今回は新たにSymbian OS搭載の携帯電話機にも搭載して展示した。
同社は,Windows CE系OSをターゲットとする場合には,開発環境としてMicrosoft Visual Studio.NETが「お薦め」だとしている。充実した統合開発環境や,データベース・コンポーネントADO.NETを利用して組み込みアプリケーションをパソコン上と同等の環境で構築できるからだ。
軽量級から「キャリアグレード」まで対応のSolid
東電ユークエストは,同社が代理店として販売する組み込みデータベース管理ソフトSolid EmbeddeEngine/Solid BoostEngine(開発は米Solid Information Technology Corp.)を展示した。分散データベースのマスター/レプリカ間を双方向に同期させる機能が特色。通信事業者などでの利用を想定した「CarrierGrade Option」を追加することで,サーバ側でのホット・スタンバイ機能を実現でき,無停止運転(同社によれば99.999%の可用性)を実現できるとしている。
以上の製品のほか,展示会場ではOracle Liteの出展があり,また日立製作所「Entier」の話題も聞いた。出展社40社足らずという比較的小規模のイベントで,これだけの種類の組み込みデータベースの話を聞くことができたのは,この分野の活発さを表しているといえるかもしれない。













