NTTドコモは,2005年9月20日から北海道大学で始まる電子情報通信学会(信学会)ソサイエティ大会で,かねてから推進していた無線通信規格「Super 3G」の詳細を明らかにする。

 Super3Gは,2004年5月末に開催された国際会議「International Conference on Beyond 3G Mobile Communications-2004」(ICB3G-2004)でNTTドコモが初めて披露した,次世代の無線通信規格である(日経エレクトロニクスの記事)。同社のシナリオでは,2010年までにSuper3Gの無線ネットワークを導入するという。第4世代移動体通信(4G)向けに開発している技術を先取りしていることから,「4Gに限りなく近い」(同社)という意味で3.9Gなどとも呼んでいる。伝送速度は,4Gの100Mビット/秒~1Gビット/秒に対して,Super3Gでは下りについて最大100Mビット/秒,上りは50Mビット/秒を目指している。

 3Gの実装規格を策定する業界団体3GPPは,2004年12月にアテネで開催した会合で,現行のW-CDMAやそれを拡張したHSDPAに続くものとして「Evolved UTRA and UTRAN」と呼ぶ名称の規格を検討することを了承している。これは,NTTドコモなど国内外の通信事業者・メーカー26社が共同提案したものだという。この規格の有力候補あるいはベースとなるものがSuper3Gとみられる。

 9月の信学会では,「Evolved UTRA下りリンクにおける無線アクセス方式の検討(講演番号:B-5-40)」「Evolved UTRA上りリンクにおける無線アクセス方式の検討(講演番号:B-5-41)」など少なくとも12個の講演でSuper3Gの内容を紹介する。講演の中には「OFDM無線アクセスにおけるパイロットシンボル配置を考慮した最適サブキャリア間隔の検討」などもあり,Super3Gの下り回線ではOFDMを採用することになる。このほか,学会ではフレーム構成やハンド・オーバーの特性評価などを報告することになっている。

※『日経エレクトロニクス』2005年8月29日号では,Super3Gを含む次世代無線通信技術に関する特集「次世代ケータイ,1Gビット/秒への青写真」を掲載しています。