矢野経済研究所は,太陽電池の市場動向について調査結果をまとめ,2008年度まで毎年度,30~40%の成長率で市場が拡大するとの予測を発表した。同社の推計によれば,2004年度の市場規模は出荷容量ベースで約64万kW,2008年度には約2350万kWに達する見通しだ(図1)。


図1●太陽電池の市場推移(矢野経済研究所推計)

 住宅用の太陽電池システムの2004年度における推定市場規模は,件数ベースで5万8600件(新築1万1364件,既築4万7236件),金額ベースで3595億円(新築2471億円,既築1124億円)だった。件数ベースで既築がおよそ8割を占めている。屋根一体型については,架設型(屋根置き型)に比べるとコスト高となるため,新築物件への設置がメインとなっており,市場規模はまだ小さい。

 今後も,戸建住宅の市場動向を考慮すると引き続き既築を中心に市場が伸長すると予想される。矢野経済研究所では,2008年度に市場規模は新築2万4600件,既築12万3000件の計14万7600件に達すると予測している。金額ベースでは6989億円との見通しだ。

導入の決め手はコスト

 自治体を対象としたアンケート調査(回答数:242)によると,既に太陽電池システムを導入している自治体は55.6%(139自治体)で,新設・増設を検討中の自治体は23.2%(58自治体)だった。

 新設・増設の導入目的は,「環境教育・啓発」が91.4%と最も高く,次いで二酸化炭素(CO2)削減(74.1%),省エネ対策(63.8%)となっている。設置用途は,学校(51.7%),庁舎(22.4%),街路灯(10.3%)の順となった。導入する際に重視する点は,上位3位までを「初期投資コスト」(79.8%),「ランニング・コスト」(62.8%),「公的補助率」(50.4%)が占めており,予算を圧迫しないことが導入の条件になるとみられる(図2)。


図2●太陽電池を自治体に導入する場合に重視する点