韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.は,2005年8月22日,携帯機器向け地上デジタル放送規格「DVB-H」に準拠した受信用チップセットを発表した。RFチューナICと復調LSIの2チップで構成する。DVB-Hに向けた受信用チップでは,米Freescale Semiconductor,Inc.などがRFチューナICを,フランスDiBcom社などが復調LSIを手掛けている。Samsung社はRFチューナICと復調LSIを両方セットで提供することを強みに,携帯電話機など携帯機器メーカーへの採用を目指す。

 RFチューナIC「S5M8600」は,Freescale社と同様にダイレクト・コンバージョン型のアーキテクチャを採用するCMOS製ICである。複数の周波数帯の受信に対応しており,「米国でサービス予定の1670MHz~1675MHz,および欧州でサービスが予定される470MHz~890MHzと1452MHz~1477MHzの受信に利用できる」(韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.)とする。復調LSI「S3C4F10」はCPUコアとメモリを集積しており,DVB-H規格の誤り訂正処理(MPE FEC)などを外付けメモリ無しで実現できる。復調LSIはDVB-Hのみならず,DVB-Tの復調にも対応しているという。

 出荷時期や消費電力などは明らかにしていない。同社は加えて,韓国などに向けた携帯機器向け地上デジタル放送規格「T-DMB」とDVB-Hの受信機能を両方備えたデュアル・モード対応製品を,2006年中旬に出荷する予定を明らかにしている。