米QUALCOMM Inc.は,米Flarion Technologies, Inc.を買収する(QUALCOMM社の発表資料)。Flarion社は,「flash-OFDM」と呼ぶ移動体通信技術を開発した企業で,OFDMを使ったアクセス方式「OFDMA(orthogonal frequency division multiplex access)」に関する特許を保有している。Flarion社は米国や韓国でflash-OFDMの試験サービスを実施している。国内では英Vodafone社が2004年に東京都内で実証試験を行ったほか,日本テレコムが東北大学と共同で2005年7月から実験を仙台市で始めている。

 OFDMAは,IEEE802.16が標準化作業をほぼ終えている移動体通信規格「IEEE802.16e」のアクセス方式に採用されている。IEEE802.16eにはKDDIが注目しており,2005年6月以降,大阪で試験を継続中だ(『日経エレクトロニクス』2005年7月18日号What’s New)。

 CDMA関連技術および製品を持つQUALCOMM社は,今後の移動体通信の進化について数チャネルを束ねて高速化する「CDMA2000 Nx EV-DO」を推すなど,あくまでCDMAを中核に据えて推進する構えだ。今回の買収によりOFDMA技術を取り込むことで,OFDMAを志向する事業者や機器メーカーの要求にも応えられる体制を整えたことになる。

 買収総額は6億米ドル(1米ドル=112円換算で約672億円)。

なお,『日経エレクトロニクス』2005年8月29日号では,次世代移動体通信に関する特集記事を予定しています。