「今年,いよいよ絶好のHDTV商戦が巡ってきた」——米Sony Electronics Inc.,President 兼 Chief Operating Officerの小宮山英樹氏が2005年の幕開けを飾るイベント「2005 International CES」で語ったとおり,デジタル家電サイトで2005年 の上半期を象徴するキーワードは「HDTV」でした(1月9日の記事)。液晶テレビやプラズマ・テレビなどの薄型テレビの販売も好調で,徐々にHDTV受像機が家庭に浸透し始めています。
大画面のHDTV対応のテレビを購入すると,これまで見慣れてきたはずのSDTVの映像の荒さに落胆させられることが少なくありません。DVD-Videoの映像しかり,ビデオ・カメラの映像しかりです。放送以外にHDTVコンテンツがほとんどなく,パッ ケージ媒体を再生するプレーヤも,ビデオ・カメラもAV機能を強化したパソコンもHDTV対応がほとんど進んでいないことに改めて気づかされます。
この状況に不満を持っているユーザーは私だけではないはず——2005年上半期は,こうした溝を埋める 製品が読者の高い関心を集めました。パッケージ媒体については,映画もゲームもHDTVで楽しめるソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション 3」(5月17日の記事)がダントツの1位にランクイン。ビデオ・カメラは500mlペットボトル大まで小型化したソニーの1080i対応品が注目を集めました(5月17日の記事)。さらにHDTVの録画・再生に対応した富士通のパソコン(4月19日の記事)が続きます。
次世代DVDはもうマニアだけの関心事ではない
次世代光ディスクについては,Blu-ray DiscとHD DVDの対立の構図が今なお続いています。2005年4月の統一報道をきっかけに,各陣営の中核企業の発言にアクセスが集中しました(ソニーの発言(4月27日の記事),松下電器産業の発言(4月28日の記事),東芝の発言(5月27日の記事))。
次世代光ディスクに関心を持っているのは,もはやハイエンド機器に興味が高い一部のユーザーだけではありません。つい先日も知人が「手頃な価格になったらブルーを買うわ」と楽しそうに話していました。普段はエレクトロニクスの話題などまず話さない方だけに,その発言には面食らいました。知人は最近HDTV対応の液晶テレビを購入したのですが,そのときに関心を抱いたようです。一般消費者にせっかく芽生え始めた関心を,規格争いがそがないことを祈るばかりです。
「Google Earth」が上位に
ハードウエアに関する技術や製品の記事が高い関心を集める中で,異色だったのが5位にランクインした米Google Inc.の「Google Earth」です(5月20日の記事)。確かに,高精細の衛星写真がなめらかにスクロールしていく様子はまさに圧巻。編集部内でも仕事を忘れてのめり込む姿がちらほらと見られました。様子を見ていると,楽しみ方は人それぞれです。これまでに訪ねた国や地域を次々に入力して,擬似的な世界旅行を楽しむ人もいれば,鳥瞰図のような視点で地図をスクロールさせて疑似飛行を楽しむ人もいました。何を検索するわけでもなく,いつの間にかユーザーを没入させるサービスにGoogle社のすごさを見ました。
デジタル家電サイトでアクセス数の多い記事の種別に分解モノがあります。競合他社の機器を調査・分析して自らの製品開発に生かしたいという理由もあると思いますが,分解と聞くとワクワクしてしまう技術者の方の本質をくすぐるのかもしれ ません。特に今回注目を集めたのは,ソニーの世界最小DV方式ビデオ・カメラ(2月18日の記事)と,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の Blu-ray Disc録画機(1月19日の記事)でした。