今年も半分を折り返し,2005年度第1四半期の決算発表がまさにたけなわ。上半期をあらためて見つめ直す意味で,Tech-On!は13のテーマサイトごとに,そのテーマサイトを運営するテーマサイト・マスターが「上半期トップ10」をお送りします。その第1弾として,モバイル・サイトを運営する日経エレクトロニクス 編集委員の菊池隆裕に上半期を振り返ってもらいます。(Tech-On!編集部)

 「韓国勢に先を越された」。そんな思いで「韓国勢が躍進,2004年の携帯電話機市場1月28日記事」をお伝えした。モバイル・インターネットの先行者メリットを生かして「ケータイ世界制覇」を目指そうという記事を書いたのが2001年。しかし,実際に浮上したのは韓国Samsung Electronics Co., Ltd.やLG Electronics Inc.だった。「寸法が大きすぎる」などの指摘があるにせよ,700万画素のカメラを搭載した端末を発表する(3月11日の記事)など,海外のイベントでは存在感を見せ付けた。

ウォークマン・ケータイが登場

 携帯電話機のマルチメディア化には一服感があるものの,音楽再生機能への注目度は依然として高い。国内ではKDDIが「着うたフル」に力を入れているが,海外でも英Sony Ericsson Mobile Communications ABが「ウォークマン・ケータイ」を発売(3月2日の記事)したほか,米Motorola, Inc.は,iTunes対応ケータイを年内に出荷することになりそうだ。2月開催の「3GSM World Congress 2005」ではNECエレクトロニクスが24kビット/秒でCD並みの音質を実現する「enhanced aacPlus」の技術実演を見せた(2月18日の記事)。携帯電話機を使った音楽ダウンロードへの期待感の大きさがうかがえる。

 携帯電話の新しい流れとして筆者が注目しているのは,非接触ICカード機能が実現する電子マネーの取り込みである。JR東日本が2006年1月の「モバイルSuica」サービス開始に向けて実験を始めた(2月22日の記事)ほか,NTTドコモが商標登録を持つ「おサイフケータイ」のサービス・マークをKDDIも使うことにしボーダフォンも対応機種を10月に発売するなど,「電子マネー付き携帯電話機」の流れは定まったようだ。

WiMAX系のモバイル技術が急浮上

 ポスト3Gをうかがう無線方式として急浮上してきたのが,米国発の「IEEE802.16e」である(6月29日の記事)。これは,もともと固定通信を対象にしていた「WiMAX」(3月3日の記事)を拡張した規格でモビリティ機能を追加した。2005年後半には規格化が完了する予定であり,製品開発と実証実験が急ピッチで進んでいる。2006年くらいから導入が始まる「HSDPA」や「Super3G」などITU系の方式と合わせ,今後の動向から目が離せない。携帯電話機メーカー最大手のフィンランドNokia Corp.も,6月に明らかにした無線ブロードバンドに関するポートフォリオの中でWiMAXやSuper3Gに言及している(6月10日の記事)。

 2006年には,通信事業者を替えても携帯電話の番号が変わらないようにする制度「モバイルナンバーポータビリティ」の導入が予定されている。通信事業者は,「1000万台分のケータイ用2次電池をユーザーに無償提供(1月31日の記事)」など,あの手この手を打ってユーザーのつなぎとめを図っている。1.7GHz帯の開放による新規事業者の参入を含め,見逃せない動きだ(6月3日の記事)。

2005年上半期(2005年1月1日~6月30日)アクセス・トップ10
順位 記事タイトル 掲載日
1 「振って操作」の携帯,シャープがSamsungを追い抜き商用化 1/31
2 ウォークマン携帯をSony Ericssonが正式発表,音楽再生は最大30時間 3/02
3 YOZAN社長に聞く,「当社がPHSサービスを止める理由」 2/17
4 NTTドコモの廉価版FOMA端末,コストダウン1万円の内訳は… 2/02
5 廉価版FOMA端末が間もなく登場,JATE認定 1/17
6 「画面の上1行だけ半透過型」の液晶パネル---FOMA新機種のD901iSが採用 5/17
7 【CES】ついに「ペン型」のケータイが登場 1/08
8 【3GSM】「ターゲットは欧州の女性ユーザー」,三洋電機が名刺サイズの携帯端末「wipoq」を出展 2/18
9 ドコモがPHS加入打ち切りを発表,移行措置は表明せず 2/28
10 カーナビの次は「マンナビ」,ゼンリンが歩行者ナビ向けの地図データを作成 2/16