次世代無線LANのIEEE802.11n規格の標準化に関して,草案の策定に参加している業界団体のTGn SyncとWWiSE(World-Wide Spectrum Efficiency)Alliance,そしてMITMOTは,IEEE802.11nの草案を共同で策定し,2005年9月または11月のIEEEの会合に提出することを決めた。WWiSE Allianceが発表した。

 IEEE802.11n規格の標準化を担当するタスク・グループ(TGn)は2005年7月18日~22日の間,11nの草案を決めるための会合を米サンフランシスコ市で開催していた。2005年3月,5月に開催した会合では,TGn Syncが提出した草案が過半数の支持を得ながらも,TGnが承認するのに必要な75%の支持には届かなかった(Tech-On!の関連記事)。今回の会合では,TGn SyncとWWiSE Alliance,MITMOTの3グループがそれぞれの草案を再度持ち寄って投票による勝ち抜き戦(down selection)を行った。MITMOTは,米Motorola,Inc.と三菱電機のフランスの法人で構成するグループ。2005年1月の勝ち抜き戦に敗れ,一度は解散したが,5月の会合でも草案決定に至らなかったことで復活した格好だ。

 今回の勝ち抜き戦の詳細な内容は明らかになっていないものの,75%の支持を獲得した草案はなく,その結果,3グループが共同で統合草案を作成することを決めた模様だ。3グループが互いに協力することを決めた背景には,2グループの対立でUWBの仕様の標準化が事実上停止しているIEEE802.15.3aや,政治的な駆け引きで混乱し,仕様策定に5年以上もかかっている無線LANのQoS(サービス品質)機能を規定するIEEE802.11eを他山の石とする空気があるためだ。TGnの関係者は「TGnの中では,TGn SyncやWWiSEのグループの違いを超えてNever UWB,Never 11eが合言葉になっている」と明かす。

 ※なお,日経エレクトロニクス最新号(2005年7月18日号)では,IEEE802.11nとUWBの標準化の方向性や実装技術の最新動向についての解説記事を掲載しています。