KDDIの2005年4月~6月期決算は,売上高が7143億円,営業利益が878億円,純利益が526億円となり,対前年同期比で順に1%減,2%減,2%増だった。2004年10月に米Carlyle Groupと京セラへ売却した旧DDIポケット(現ウィルコム)の影響を除いた実質ベースでは,順に6%増,1%増,6%増の増収増益を記録した。固定通信事業が,いわゆる直収電話サービス「メタルプラス」の販促費用増により116億円の営業赤字を記録したものの,主力のau事業を含む移動体通信部門で着実に収益を確保した。

auは10%増収,16%営業増益

 au事業の売上高は5395億円(対前年同期比10%増),営業利益は931億円(同16%増)。2004年6月末の契約数が1759万だったのに対し,2005年6月末には契約数が2000万を突破し,2012万とした。CDMA2000 1x EV-DO(ブランド名は「1X WIN」)対応機種の充実や「ダブル定額」といった割引施策により,契約数を増やしている。ARPU(1契約当たりの月間平均収入)は前年同期の7260円に対し若干下げ,7050円となった。

 「ツーカー」ブランドによる移動体通信事業の売上高は513億円(対前年同期比16%減),営業利益は55億円(同7%減)の減収減益だった。契約数は356万(前年同期は361万),ARPUは4100円(同4690円)。ARPUの低いシニア層の増加が響いた。しかし,「こうしたユーザー層には長く使ってもらえるとみており,順調にキャッシュ・フローを稼げ,au事業との棲み分けもできる」(KDDI 代表取締役社長の小野寺正氏)としている。

 固定通信事業の売上高は1450億円(対前年同期比1%減),営業利益は前年同期の6億円の黒字から,今期は116億円の営業赤字へ転落した。「加入者交換局(GC)におけるメタルプラスの接続作業が進んでおらず,同サービスの契約数が当初計画より少ない40万8000にとどまっている」(小野寺氏)。なお,接続作業済みのGC数は2005年6月末時点で720。通年の目標である接続GC数(1800),契約数(220万)の目標を今回は下方修正していない。

ツーカー3社をKDDI本体に吸収

 KDDIは今回の決算発表に併せて,ツーカー事業を運営する100%子会社のツーカーセルラー東京,ツーカーセルラー東海,ツーカーホン関西を2005年10月1日付でKDDIへ吸収合併することを発表した。「ツーカーの契約者をKDDIグループとしてしっかり管理し,他社への流出を防ぐ」(小野寺氏)ことや,auとツーカーの窓口の統合といった営業効率の向上を目指すとしている。

■国内企業の最新の決算はこちらからご覧いただけます。