リサイクル・アシストが輸入したキヤノン製インク・カートリッジのリサイクル品。赤丸がプリンタのホルダに固定するための構造。
リサイクル・アシストが輸入したキヤノン製インク・カートリッジのリサイクル品。赤丸がプリンタのホルダに固定するための構造。
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 特許庁は,キヤノンがインク・カートリッジのリサイクル品の輸入販売を差し止める根拠としていた特許の1つを無効とする審判を下した。無効審判は,リサイクル品を中国から輸入するリサイクル・アシストの弁護士の請求によって始まった。

 無効とされた特許は,インク・カートリッジをプリンタのホルダに固定する構造に関するもので,「キヤノンのプリンタと互換性を保つために不可欠であり,リサイクル品を排除する上で重要な特許」(リサイクル・アシスト側の弁護士である上山浩氏)だった(特許番号2801149の請求項1と6)。リサイクル・アシスト側が,横河北辰電機から同様の特許が出願されていると主張し,これを基に特許庁がキヤノンの特許を「進歩性がない」と判断した。

 キヤノン広報部は「無効と判断されたのは事実。特許庁からの正式書面を受け取り次第,当社としてしかるべき措置をとる」とコメントした。無効審判の送達から30日以内であれば知的財産高等裁判所に対して審決取消訴訟をすることができる。

 キヤノンとリサイクル・アシストは,インク・カートリッジのリサイクル品を巡って東京高等裁判所で係争中である。キヤノンは,同社製インク・カートリッジにインクを詰め直したリサイクル品を中国から輸入販売しようとしたリサイクル・アシストに対して,2つの特許侵害があるとして2004年4月に東京地方裁判所へ提訴した。2004年12月にキヤノン側の敗訴となったが,キヤノンは判決を不服として東京高等裁判所へ控訴した。