図1  外観デザインは同社のαシリーズを踏襲した。ただし,本体体積はα-7 DIGITALと比べて2割も少ない。外形寸法は130.5mm×92.5mm×66.5mm。重さは2次電池と記録媒体を除いて約590gである。カメラ上部のダイヤルに記した文字やアイコンに「スミ入れ」と呼ぶ工法を用いた。凹部にインクを流し込むことで,文字やアイコンが擦れて消える問題を解消するためだ。カメラ上部のダイヤルはAl合金またはステンレス鋼製である。
図1 外観デザインは同社のαシリーズを踏襲した。ただし,本体体積はα-7 DIGITALと比べて2割も少ない。外形寸法は130.5mm×92.5mm×66.5mm。重さは2次電池と記録媒体を除いて約590gである。カメラ上部のダイヤルに記した文字やアイコンに「スミ入れ」と呼ぶ工法を用いた。凹部にインクを流し込むことで,文字やアイコンが擦れて消える問題を解消するためだ。カメラ上部のダイヤルはAl合金またはステンレス鋼製である。
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 コニカミノルタフォトイメージングは,光学式手ブレ補正機構を備えたレンズ交換式デジタル一眼レフ機「αSweet DIGITAL」を2005年8月下旬に発売する(図1,ニュース・リリース)。有効画素数は610万。想定実売価格は約10万円である。この価格は,「『カメラグランプリ 2005』を受賞するなど大変高い評価を受けている」(コニカミノルタフォトイメージング)同社のデジタル一眼レフ機「α-7 DIGITAL」の現在の実勢価格より5万円ほど安い(Tech-On!関連記事)。しかし,機能や性能で今回の製品が劣っている点はごくわずかである。

 例えば,光学ファイダー倍率は0.9倍から0.83倍に低下したものの,キヤノンの「EOS Kiss Digital N」は0.8倍なので大きな欠点ではない。撮像素子や画像処理LSI,ミラー・ボックス,絞りといった基幹部品はα-7 DIGITALで使う品種を転用した。しかもディスプレイの視認性や操作性は,ソフトウエアの変更によって「大幅に向上している」(同社)。以下にα-7 DIGITALとの主だった違いを示した。

□機能や性能が低下した点
 ・光学ファインダーの倍率(0.9倍→0.83倍,50mmレンズで無限遠設定時)
 ・液晶ディスプレイの画素数(20.7万→11.5万)
 ・外装の材料(Mg合金と樹脂→樹脂)
 ・最大連続撮影コマ数(9コマ→5コマ,RAW形式)
□機能や性能が向上した点
 ・重さと体積(共に22%減,詳細は図2参照)
 ・撮影可能コマ数(約400コマ→約550コマ,CIPA基準,2次電池は共通)
 ・ディスプレイの視認性(詳細は図3参照)
 ・ボタン類の操作性(詳細は図3参照)
 ・画質設定の自由度(詳細は図4参照)

追い付くための戦略機種


 コニカミノルタフォトイメージングは今回の製品で,利益を上げることよりもむしろ市場シェアの早期拡大を狙っている。かつてのミノルタは,銀塩一眼レフ機でキヤノン,ニコンに続く大手だった。その地位を急いで取り戻す戦略機種というわけだ。「10万円くらいのデジタル一眼レフ機を求める方は必ずしもカメラの操作に熟達していない。当社の強みである光学式手ブレ補正機能を高く評価してくれるはずだ」(コニカミノルタフォトイメージング)。αSweet DIGITALの月産予定台数は当初5万台である。

 ただし,製造コストも低減している。最も効果的だったと説明するのが,部品点数の削減によって部材コストと組立コストを減らすことである。例えば,ボタン類の部品点数はα-7 DIGITALの30点から21点に減った。画像処理と本体制御で分かれていたプリント配線基板は1枚に統合した。これにより基板接続用の部品が不要になったり,フレキシブル基板などによる配線の引き回しが簡素になったという。

図2  本体を小型化するためモータや機構部品の配置を見直した。右側の部品配置図は上がα-7 DIGITAL,下がαSweet DIGITAL。共にカメラを正面からみたところである。α-7 DIGITALでは右上に飛び出していた絞り用モータをメイン・ミラーのすぐ左上の位置に移動させるなどした。
図2 本体を小型化するためモータや機構部品の配置を見直した。右側の部品配置図は上がα-7 DIGITAL,下がαSweet DIGITAL。共にカメラを正面からみたところである。α-7 DIGITALでは右上に飛び出していた絞り用モータをメイン・ミラーのすぐ左上の位置に移動させるなどした。
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図3  α-7 DIGITALと比べた視認性と操作性の改善点。ただし,このうちファンクションボタンの新設は,コニカミノルタの銀塩一眼レフ機のユーザーにとっては「慣れ」を求めるものである。α-7 DIGITALはボタン類の大半が銀塩機と互換性を保っていた。図で示した以外の改善として階調特性(トーン・カーブ)をISO設定画面内で変えられることがある。なお,撮影時にシャッター・スピードや絞り値などを表示する画面(一番上の写真)はα-7 DIGITALと同様,縦撮り時に読み取り易くなるよう文字の天地を自動的に回転させる。液晶ディスプレイのサイズはデジタル一眼レフ機として大きい2.5インチ型である。
図3 α-7 DIGITALと比べた視認性と操作性の改善点。ただし,このうちファンクションボタンの新設は,コニカミノルタの銀塩一眼レフ機のユーザーにとっては「慣れ」を求めるものである。α-7 DIGITALはボタン類の大半が銀塩機と互換性を保っていた。図で示した以外の改善として階調特性(トーン・カーブ)をISO設定画面内で変えられることがある。なお,撮影時にシャッター・スピードや絞り値などを表示する画面(一番上の写真)はα-7 DIGITALと同様,縦撮り時に読み取り易くなるよう文字の天地を自動的に回転させる。液晶ディスプレイのサイズはデジタル一眼レフ機として大きい2.5インチ型である。
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図4  α-7 DIGITALと比べた画質設定の改善点。このほか,撮影状況に合わせた画像処理をユーザーが指定する「シーンセレクター」機能を搭載した。選べるシーンは夜景ポートレート,夜景,夕景,ポートレート,スポーツ,風景である。
図4 α-7 DIGITALと比べた画質設定の改善点。このほか,撮影状況に合わせた画像処理をユーザーが指定する「シーンセレクター」機能を搭載した。選べるシーンは夜景ポートレート,夜景,夕景,ポートレート,スポーツ,風景である。
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