コニカミノルタフォトイメージングは,光学式手ブレ補正機構を備えたレンズ交換式デジタル一眼レフ機「αSweet DIGITAL」を2005年8月下旬に発売する(図1,ニュース・リリース)。有効画素数は610万。想定実売価格は約10万円である。この価格は,「『カメラグランプリ 2005』を受賞するなど大変高い評価を受けている」(コニカミノルタフォトイメージング)同社のデジタル一眼レフ機「α-7 DIGITAL」の現在の実勢価格より5万円ほど安い(Tech-On!関連記事)。しかし,機能や性能で今回の製品が劣っている点はごくわずかである。
例えば,光学ファイダー倍率は0.9倍から0.83倍に低下したものの,キヤノンの「EOS Kiss Digital N」は0.8倍なので大きな欠点ではない。撮像素子や画像処理LSI,ミラー・ボックス,絞りといった基幹部品はα-7 DIGITALで使う品種を転用した。しかもディスプレイの視認性や操作性は,ソフトウエアの変更によって「大幅に向上している」(同社)。以下にα-7 DIGITALとの主だった違いを示した。
□機能や性能が低下した点
・光学ファインダーの倍率(0.9倍→0.83倍,50mmレンズで無限遠設定時)
・液晶ディスプレイの画素数(20.7万→11.5万)
・外装の材料(Mg合金と樹脂→樹脂)
・最大連続撮影コマ数(9コマ→5コマ,RAW形式)
□機能や性能が向上した点
・重さと体積(共に22%減,詳細は図2参照)
・撮影可能コマ数(約400コマ→約550コマ,CIPA基準,2次電池は共通)
・ディスプレイの視認性(詳細は図3参照)
・ボタン類の操作性(詳細は図3参照)
・画質設定の自由度(詳細は図4参照)
追い付くための戦略機種
コニカミノルタフォトイメージングは今回の製品で,利益を上げることよりもむしろ市場シェアの早期拡大を狙っている。かつてのミノルタは,銀塩一眼レフ機でキヤノン,ニコンに続く大手だった。その地位を急いで取り戻す戦略機種というわけだ。「10万円くらいのデジタル一眼レフ機を求める方は必ずしもカメラの操作に熟達していない。当社の強みである光学式手ブレ補正機能を高く評価してくれるはずだ」(コニカミノルタフォトイメージング)。αSweet DIGITALの月産予定台数は当初5万台である。
ただし,製造コストも低減している。最も効果的だったと説明するのが,部品点数の削減によって部材コストと組立コストを減らすことである。例えば,ボタン類の部品点数はα-7 DIGITALの30点から21点に減った。画像処理と本体制御で分かれていたプリント配線基板は1枚に統合した。これにより基板接続用の部品が不要になったり,フレキシブル基板などによる配線の引き回しが簡素になったという。