KDDIが提供するSIMカード「au ICカード」。使用時はチップ部を切り取って携帯電話機に差し込む
KDDIが提供するSIMカード「au ICカード」。使用時はチップ部を切り取って携帯電話機に差し込む
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「au ICカード」を手に説明するKDDIの阪東氏
「au ICカード」を手に説明するKDDIの阪東氏
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 KDDIは,自社ブランドで販売する携帯電話機にSIMカード「au ICカード」を導入する。GSM地域へのローミングを容易にすることなどを狙う。2005年9月発売のCDMA2000 1x EV-DO(「1X WIN」)対応端末「W32H」「W32S」から順次採用し,来年には新規に投入する1X WIN対応端末の全機種をSIMカード対応型とする(発表資料)。

 au ICカードは,GSM対応携帯電話機で広く用いられているSIMカードと互換性を持たせる。同カード内に契約者の電話番号情報などを記録しておく。ユーザーが同カードをKDDIの携帯電話機から抜いて,別途用意したGSM対応の携帯電話機に挿すと,KDDIとローミング契約を締結しているGSM事業者のサービス・エリアで海外ローミングが可能になる。ただし,海外ローミング時は音声通話のみで,ショート・メールやデータ通信には対応していない。

 SIMカードについては,NTTドコモとボーダフォンがW-CDMA方式の第3世代携帯電話(3G)サービスに対応した全端末で採用している。いずれもGSM対応端末に差し替えるなどして,海外ローミングが可能な仕様となっている。KDDIもこれに追随した形だ。

 海外ローミング可能な地域は約160ある。「アフガニスタン,カメルーン,サウジアラビアなど,NTTドコモやボーダフォンが海外ローミングを提供していない地域でも使用可能。国内の携帯電話事業者として提供する海外ローミング対地は最も多い」(KDDI au商品企画本部 モバイルサービス部 インタフェイスグループ 次長の阪東謙一氏)という。KDDIは以前から,通信方式にCDMA2000を採用した通信事業者との間で,同一の端末で国際ローミングできるサービスを提供していた。今回のSIMカードの導入で,GSM方式の通信事業者のサービス地域におけるローミング・サービスを強化する。

電子証明書の格納機能も

 au ICカード独自の機能として,WWWサイトへのアクセス時にユーザー認証をするための電子証明書を発行し,同カード内に格納するサービス「Security Pass」を提供する。「B2E,B2B2Cなど,複数の形態でSecurity Passの利用を検討している法人ユーザーがおり,サービス開始に向け交渉を進めている」(阪東氏)。

 なお,au ICカードは一般的なGSMのSIMカードと異なり,ユーザーの作成した電話帳データを格納するメモリ空間を確保していない。ユーザーが日本国内用の携帯電話機を買い替えた際,電話帳データを旧端末から新端末へ移行するには,小売店やKDDIの営業窓口で作業してもらうか,市販のパソコン・ソフトなどを用いてユーザー自身が作業する必要がある。