図1  Wisair社のUSB2.0ドングルのレファンレス・デザイン。アンテナも組み込んだ。
図1 Wisair社のUSB2.0ドングルのレファンレス・デザイン。アンテナも組み込んだ。
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図2 UWB無線インタフェースを搭載したUSB2.0のドングルを介して,約20Mビット/秒のHDTV信号を伝送。この場合の伝送距離は約1mだった。
図2 UWB無線インタフェースを搭載したUSB2.0のドングルを介して,約20Mビット/秒のHDTV信号を伝送。この場合の伝送距離は約1mだった。
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図3 2004年に開発した第1世代のチップセットで構成したレファレンス・デザイン(上)と新しいチップセットで構成したレファレンス・デザイン。
図3 2004年に開発した第1世代のチップセットで構成したレファレンス・デザイン(上)と新しいチップセットで構成したレファレンス・デザイン。
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 イスラエルWisair Ltd.は,マルチバンドOFDM方式のUWB(ultra wideband)のRFトランシーバLSI「Wisair 502」とデジタル・ベースバンド処理/MAC用LSI「同 531」を開発した。すでに量産可能で,UWBインタフェースのUSB2.0ドングルのレファレンス・デザインなども用意し,すぐにも製品が開発できる状態だという(図1)。同社はこのUSB2.0ドングルを利用したデモを明日に開催する無線通信技術の展示会「ワイヤレスジャパン2005」(東京ビッグサイト,2005年7月13日~15日)で実演する予定である(図2)。

 Wisair 502と同531は,同社にとって第2世代となるUWBのチップセットである(Tech-On!の関連記事)。RFトランシーバLSIの502は,2004年に開発した第1世代の「501」に比べて,ダイの面積を60%削減し,消費電力を200mWと1/2以下に減らした。0.18μmのSiGe-BiCMOS技術で製造した。

 一方,デジタル・ベースバンド処理/MAC用LSIの531は,従来の「530」に比べて受動部品などの集積度を大きく高めたという。例えば,無線LANのIEEE802.11a/b/gと共存するためのノッチ・フィルタ,A-D/D-A変換器なども同チップ上に集積した。「外付け部品は水晶など10点に満たない」(Wisair社 President &CEOのDavid Yaish氏)。パッケージの寸法は13mm角,消費電力は300mWである。0.13μmルールのCMOS技術を使って,台湾TSMCで製造したという。

 チップセットは同社が用意したレファレンス・デザインなど開発キットと合わせて提供する(図3)。USB2.0ドングルのレファレンス・デザインには,同社が開発した小型のアンテナも搭載した。チップセットの消費電力は計500mW。ドングル全体の消費電力は約600mWであるという。

 UWBの仕様は,RFトランシーバLSIについては米Intel Corp.などが主導するWiMediaの規格「MBOA Rev.1.0」に準拠する。ただし,MACは,正式仕様ではなくドラフト「Rev.0.95」のさらにサブセットで,Wisair社は「mini MAC」と呼ぶ。今後登場するWiMedia準拠の製品とは互換性はないが「利用できる用途や使い方は変わらない」(同社 Yaish氏)という。