総務省は,2005年6月3日~7月4日に行った「1.7GHz帯または2GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案等に対する意見募集」の結果を発表した(発表資料)。2005年6月3日に総務省が発表した指針案(Tech-On!関連記事)に対する意見を募っていたもので,NTTドコモやソフトバンクBBなどから29件の意見が集まった。

 携帯電話事業へ新規参入を目指すソフトバンクBBの代表取締役社長である孫正義氏は,2005年7月4日付けで意見書を提出している。同氏は「5MHz幅の割り当てでは既存事業者と同等のサービスができない」などとして,「周波数の割り当て幅を最低10MHz,望ましくは15MHzとして欲しい」「東名阪バンドも新規参入者に優先的に割り当てるべき」など,総務省に同社の要求を突きつけた。

 ボーダフォンも今回の指針案には変更を要求している。同社の代表執行役社長のBill Morrow氏は,「新規参入は当面,最大1社に限定することが望ましい」「新規参入者のライセンス条件については既存事業者が3Gに参入したときと同条件にすべき」など,新規参入を牽制した。さらに,「一部報道では新規参入希望者が3000億円程度の投資で全国規模のネットワークを構築可能としているとあるが,こうした構想は現実的ではない。新規参入者の選定には厳密な審査が行われるべき」と述べている。

 一方,NTTドコモの代表取締役社長である中村維夫氏も2005年7月4日,意見書を提出した。こちらは割り当て幅を5MHzとする指針を「妥当」,東名阪バンドに関して新規・既存の区別なく5MHz幅で割り当てる指針についても「適当」と評している。追加割り当ての基準(1MHzあたり100万人の利用者)に関しても「厳しいがやむをえない」としており,全面的に総務省の指針案を支持したといえる。

 総務省は今後,集まった意見に対する総務省の考え方を整理した上で,2006年度からの1.7GHz帯および2GHz帯周波数の携帯無線通信用としての使用に向けて,電波監理審議会に開設指針案を諮問するなど,所要の手続きを進めるとしている。