「W31T」(上)と従来機「W21T」の断面図。アクリル樹脂で固めて切断した
「W31T」(上)と従来機「W21T」の断面図。アクリル樹脂で固めて切断した
[画像のクリックで拡大表示]
筐体下部を分解したところ。左側の筐体カバー(水色)の電池収容部の底面を板金(中央銀色の部分)にした。筐体の周辺部に,基板と重ならないようにアンテナを配置している
筐体下部を分解したところ。左側の筐体カバー(水色)の電池収容部の底面を板金(中央銀色の部分)にした。筐体の周辺部に,基板と重ならないようにアンテナを配置している
[画像のクリックで拡大表示]

 「今回製品化した端末は,『CDMA 1X WIN』と『PCサイトビューアー』に対応し,236万画素のカメラも搭載する最上位機種。それでも,WIN対応端末の中で最も薄くすることを狙った」。

 KDDIが発売した東芝製の携帯電話機「W31T」の厚さは20mm。「INFOBAR」などのストレート型を除けば,KDDIの第3世代(3G)機の中では三洋電機製の「A5507SA」と並んで最も薄い。NTTドコモやボーダフォンの3G端末と比べても,最も薄い水準にある。

 東芝製の従来機種「W21T」の厚さは26mm。一気に6mmも薄くしたことになる。「カメラや表示装置などの機能が各社横並びになってきたので,薄いことが付加価値になる」と考え,開発に着手したときから20mm以下にすることを狙ったものだという。折り畳み型の上下2枚の筐体それぞれについて10mmにすることを目標にし,設計と部品を全面的に見直した。結局,テン・キーや電池を収容する筐体下部では4mm,表示装置がある筐体上部で2mm,それぞれ減らすことにした。

基板枚数を2枚から1枚に


 まず,筐体下部について最も削減効果が大きかったのはプリント回路基板の枚数を2枚から1枚構成にしたことだという。これだけで1.9mm減らした。電池については,厚さ5.7mmのものから4.7mmのものに変えた。従来の電池容量1000mAhから今機種では850mAhへと減少したが,「それでもWIN対応機の平均程度」(東芝)で問題ないと判断した。

 さらに,SDメモリーカード用のスロットを,電池収容部と重ならないように基板上に載せたほか,アンテナなどの大きなものは電池の周囲に配することにした。同端末が搭載するアンテナは,Bluetooth用やGPS用など4個あるが,板金で製造して基板の上ではなく周辺に配置した。このほか,電池を収容するプラスチック筐体の底面部をくり抜き,プラスチックよりも肉厚が薄い板金にした。

 筐体上部については,液晶パネルとカメラを見直した。液晶パネルについてはガラスを薄くしたことで,バックライトを合わせた厚さが1.59mmから1.16mmになった。これにより強度は4割減ったが,強度を維持するためにMg合金製のホルダーを一体化した。従来のプラスチック製ホルダーに比べて,剛性は4倍という。このほか,パネル支持部の面積を大きくすることで,パネルの一部に力が集中しないようにした。カメラについては光学系を見直し,高さは8.25mmから6.95mmになった。