ウィルコムが開発中のPHSモジュール。アンテナも内部に収めている
ウィルコムが開発中のPHSモジュール。アンテナも内部に収めている
[画像のクリックで拡大表示]
今回のモジュールに対応したPHS端末の試作機
今回のモジュールに対応したPHS端末の試作機
[画像のクリックで拡大表示]
一般消費者の利用に向け,1万回の活線挿抜が可能な設計とした
一般消費者の利用に向け,1万回の活線挿抜が可能な設計とした
[画像のクリックで拡大表示]
PHSモジュールの主な仕様
PHSモジュールの主な仕様
[画像のクリックで拡大表示]
ウィルコムの八剱氏。「機器メーカーは無線部分にとらわれず,機器の独自機能の開発に専念できるようになる」
ウィルコムの八剱氏。「機器メーカーは無線部分にとらわれず,機器の独自機能の開発に専念できるようになる」
[画像のクリックで拡大表示]

 ウィルコムは,PHS機能を組み込んだモジュール製品の販売事業を強化する。第1弾として,PHSの音声通話やデータ通信,アンテナなどの機能を1パッケージに集積したモジュール「WILLCOMコアモジュール W-SIM」の提供を2005年末をメドに始める(発表資料)。

 ウィルコムを含め通信事業者各社は,自動販売機などへの組み込み用通信モジュールや,パソコンのPCカード・スロットやコンパクト・フラッシュ・スロットに挿入するデータ通信モジュールなどを市販している。今回のモジュールで同社が新たに打ち出した特徴は,(1)アンテナを含めた通信回路のすべてを搭載して出荷するため,同モジュールを用いた機器を開発するメーカーが通信機能にかかわる開発をほぼ完全に省略できる,(2)データ通信だけでなく音声通信機能も備える,(3)一般消費者がこのモジュールを複数の機器で使い回すことを想定し,1万回の挿抜に堪える耐久性を備えるほか,機器の電源を入れた状態での活線挿抜を可能にしている,などがある。外形寸法は幅25.6mm×奥行き42mm×厚さ4mm,重さは10g以下としている。

 同社 代表取締役社長の八剱洋一郎氏は,「無線通信に関してプロフェッショナルでない企業にとって,無線機能を組み込んだ機器を開発することは容易ではない。PHSの無線機能をモジュール化することで,無線通信機能を用いた機器の開発負担を軽減できる」と意義を強調した。

 開発発表の記者会見では,同モジュールを用いたPHS端末の試作機を展示していた。このほか応用例の1つとして,既存の組み込み用PHSモジュールを用いた犬の餌やり機を披露した。同社はモジュールの開発に前後して,同モジュールを用いた機器開発をする企業を「WILLCOMコアモジュールフォーラム」として組織化する計画である。

 会員企業に向けて,インタフェースの仕様公開や機器のテスト環境を提供したり,開発モジュールの有償販売を行ったりする。既に46社が同フォーラムへの賛同を表明している。賛同企業にはカシオ計算機,京セラ,三洋電機,東芝,富士通といった携帯機器を手掛けるメーカーのほか,アップルコンピュータやマイクロソフトなどIT関連企業が名を連ねる。トミーやバンダイなどの玩具メーカーや,デザイン事務所も賛同しているという。