報道陣の質問を受ける三洋電機 代表取締役会長兼CEOの野中ともよ氏(左),代表取締役社長兼COOの井植敏雅氏(中), 代表取締役副社長兼CFOの古瀬洋一郎氏(右)
報道陣の質問を受ける三洋電機 代表取締役会長兼CEOの野中ともよ氏(左),代表取締役社長兼COOの井植敏雅氏(中), 代表取締役副社長兼CFOの古瀬洋一郎氏(右)
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 2004年度に1371億円の純損失を出すまでに業績が悪化した三洋電機。「創業以来,類をみない厳しさ」(Tech-On!関連記事)という同社の経営を立て直すため,同社 代表取締役会長兼CEOの野中ともよ氏は2つの「未来」を全社員に示した。1つは過酷なリストラ目標,もう1つは三洋電機ブランドの核となる新ビジョンである。

3年で全従業員の15%を削減

 三洋電機は2008年までに,国内で約8000人,海外で約6000人の人員を削減する(ニュース・リリース)。これは同グループの全従業員の15%に相当する。加えて,国内工場を面積換算で20%削減または売却する。閉鎖する工場やその数は明らかにしなかったが「既に閉鎖を決めたところもある」(同社 代表取締役社長兼COOの井植敏雅氏)。2005年度予算には事業構造改革費900億円を計上し,うち240億円をリストラ費に充てる。

 現在1兆2000億円ある有利子負債については,不必要な設備や資産,事業の売却などで,2007年度までに6000億円まで圧縮する。このほか,部品調達や物流の機能など,今まで各事業ごとに独立していた業務を本社に集約することで,2007年度までに700億円の費用削減を目指す。

「地球に喜ばれる企業」を三洋ブランドの旗印に

 上記の数値目標を達成するために,同社は事業ポートフォリオを大幅に見直す。残すべき事業の選定基準となるのは「営業利益率5%を達成できるか」「市場が潜在的に成長し得るか」「その領域で三洋電機が強み(コンピタンス)を持っているか」「三洋電機の新ビジョンと理念が合致するか」の4点。2005年度までに選別を完了させるという。

 事業見直しの新憲法として野中氏が掲げたのは「Think GAIA」という新しい企業ビジョンである。具体的には,2次電池や太陽電池,CO2触媒の圧縮機,土壌浄化技術など,同社が持つ環境関連技術を組み合わせた事業を前面に押し出すことで「地球に喜ばれる会社」というブランド・イメージを定着させる。「今まで三洋電機には統一したブランド・イメージがなく,各カンパニーが独立した中小企業のようにバラバラに事業を展開していた」(野中氏)。Think GAIAを旗印にすることで,カンパニーの枠を超えた新しい事業を現場レベルから立ち上げることを目指すという。「既に現場からは,Think GAIAのイメージに合致する事業のアイデアがいろいろ挙がっている」(同氏)。