米サンフランシスコ市で開催中のインターネットと地理情報サービスに関するイベント「Where 2.0」で,米Microsoft Corp.が衛星で撮影した写真を用いた地域情報の検索サービス「MSN Virtual Earth」を公の場で初めて実演した(MSN Virtual EarthのWebサイト)。MSN Virtual Earth は,2005年5月開催のイベントでMicrosoft社のChairman兼Chief Software ArchitectのBill Gates氏が明らかにしたサービスで,無料で提供する予定。これに似たサービス「Google Earth」を米Google Inc.発表したばかりで(Tech-On!関連記事),米国の大手検索エンジンの間で地理情報サービスの競争が始まりそうだ。

 基本的にMSN Virtual Earthは,地域に関連する情報,たとえば店の情報を検索して,検索結果を衛星写真上に表示するサービス。Where 2.0の実演では,米シアトル市の衛星写真を見ながらレストランや喫茶店,映画館の情報を検索・表示してみせた。ユーザーは,「scratch pad」という機能により検索結果を保存できる。ユーザが保存した写真と検索結果の情報を,電子メールで他のユーザに送ることができる。このほか,ユーザのブログや個人情報を保存するサービス「MSN Spaces」と連携することも可能。

専用ソフトウエアは不要


 MSN Virtual EarthとGoogle Earthの大きな違いは,Google Earthでは操作のために専用クライアント・ソフトウエアが不可欠なのに対し,MSN Virtual Earthはプラグインが不要であること。Microsoft社の「Internet Explorer」や,オープンソースのWWWブラウザ「Firefox」だけで操作できる。Microsoft社によると,MSN Virtual Earthは「AJAX」(Asynchronous JavaScript and XML)技術を利用して映像を管理するという。MSN Virtual Earthの正式な公開は2005年夏の予定で,その時点では米国内の情報のみを提供する。他の国の情報にも対応する予定だが,具体的なスケジュールは決めていないという。

「MSN Virtual Earth」の画面。写真上の赤い点は「イタリア料理レストラン」の検索結果で,レストランの位置を表す。緑の点は「喫茶店」の検索結果。MSN Virtual Earthの特徴の一つは,衛星写真の上に道の名前を表示すること。
「MSN Virtual Earth」の画面。写真上の赤い点は「イタリア料理レストラン」の検索結果で,レストランの位置を表す。緑の点は「喫茶店」の検索結果。MSN Virtual Earthの特徴の一つは,衛星写真の上に道の名前を表示すること。
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