米国を中心に活動するソフトウエア著作権保護団体,Business Software Alliance(BSA)は2005年6月28日,私的録音録画補償金制度の拡大に反対する声明を発表した(声明文の全文)。文化庁長官の諮問機関である文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会が6月30日に,私的録音録画補償金に関する集中審議を予定しており,これに時期を合わせてBSAとしての意見を表明したものである。

 声明では,私的録音録画補償金の見直し議論の中に,米Apple Computer, Inc.の「iPod」といった,ハード・ディスク装置(HDD)内蔵型の携帯型音楽プレーヤを対象機器として追加すべきとの意見があることを疑問視。「大きな疑問と疑念」を表明した。

 さらにBSAは,世界で最初に補償金制度が導入されたのが1960年代であったことを指摘し,今の時代に合っていないと主張する。アナログ機器の時代には,私的複製から権利者を守る唯一の現実的な方法として補償金制度がとらえられていたが,今日のデジタル時代には,DRM(digital rights management)といった,ほかの優れた手段がある,というのがその論旨である。

 BSAの主要メンバーはソフトウエア・メーカーだが,今回の声明文を起草した分科会組織「Policy Member」には,米Cisco Systems,Inc.,米Dell Computer, Inc.,米Hewlett-Packard Co.,米IBM Corp.,米Intel Corp.などハードウエア・メーカーが複数参画している。同分科会のメンバーではないものの,Apple社もBSAに加盟している。「BSAはIT業界を中心に,メーカーと著作権者の双方の意見を知る立場にある。各社の意見を代表し,最善な解決策を提示するものとして,今回の声明を取りまとめた」(BSA日本PR事務局)とする。