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筋肉でパソコンを動かす入力インタフェースが登場

2005/06/23 20:34
宇野 麻由子=日経エレクトロニクス
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図1 「マッスルト〜ク」のデモンストレーション。モデル男性の動きに合わせて骸骨が動く。
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図2 センサの電極面。この面を人体に密着させる。基板の裏側に増幅回路を実装する。
図2 センサの電極面。この面を人体に密着させる。基板の裏側に増幅回路を実装する。
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 仮想現実に関する機器やソフトウエアなどを扱うソリッドレイ研究所は,筋電位を利用したパソコン用入力装置「マッスルト〜ク」を発売した(リリース)。腕などを動かす際に筋肉の収縮に伴って変化する電位を測定し,入力信号とする。一般的な医療用の筋電図検査装置に比べて機能を簡素化し,アンプとなる「コントロールボックス」の外形寸法を230mm×210mm×55mmと小型にした。2005年6月22日に発売を開始したが,出荷時期は未定。価格はコントロールボックスのほかに2個のセンサや電源ケーブルなどを含む基本セットが148万円,追加用センサが1個8万円である。コントロールボックスは8つの入力チャネルを備える。東京ビッグサイトで開催中の「第13回 産業用バーチャルリアリティ展」(2005年6月22日〜24日)でデモンストレーションを行っている(図1)。

 医療用の筋電図検査装置と同様,人体に筋電位を測定するセンサを取り付ける。数百μV〜数mVと微弱な電位を測定するため,雑音対策が必要となる。通常は2個の電極を別々に用意して差動電圧を測定するが,今回はセンサ部にこの2個の電極を組み込んだ(図2)。電極は1cmほど離して配置した。センサに搭載した回路により,約250倍の差動増幅を行っている。この信号をコントロールボックスでさらに増幅しローパス・フィルタを通してパソコンに入力する+2V〜+3V程度の信号を生成している。

ドラムがなくても「おいらはドラマー」


 デモンストレーションでは,モデルの男性がスティックを持ってドラムをたたくような動作をすると,それと同時にモニター上でCGの骸骨がドラムをたたくと同時に音を出すという実演が行われた。手首を上に曲げる筋肉と下に曲げる筋肉の2カ所に取り付けたセンサによって手首の動きを検出し,動作に合わせた音と映像を出力する。誤動作を避けるために2カ所で測定した。

 正確には,今回の製品ではCGの骸骨はモデルの動きを再現しているわけではない。手首を曲げることは検出できるが,例えばどれだけ曲げたかといった変位などは検出していない。そのため,実際には手首を曲げなくても該当する筋肉に力を入れれば,ドラムをたたいたと認識して骸骨はドラムをたたいてしまう。今回はローパス・フィルタが出力する信号の振幅を2段階で検出しているためである。研究では肩の筋肉であれば10段階程度に分けて検出することが可能と確認されている。こうした研究は,筋肉骨格系のモデル化などを研究する東京工業大学 精密光学研究所の小池研究室で行われている。マッスルト〜クはソリッドレイ研究所と小池研究室の共同研究や技術相談があって製品化に至ったという。

加速度センサより有利な点も


 人間の手足の動きを利用する入力インタフェースとしては,加速度センサが先行している。これに対してマッスルト〜クのような筋電位センサの利点は2つあるとする。1つは加速度センサを使った場合は動いたことがトリガとなるのに対し,筋電位センサは動かそうとしたときの電位がトリガとなるため,音が鳴るといったイベント発生のためのスタートが早くなる。動作に対するイベントの反応時間を結果的に短縮できる。もう1つは実際に体を動かすことができなくてもトリガにできること。例えばリハビリ中で腕が動かない状態でも,力を入れれば音や映像で反応が得られる。リハビリの筋力トレーニングの一環として取り入れるといった用途が考えられる。

 ただし,実際には動かさなくても動かそうとしただけでイベントが起きてしまい,仮想現実技術に用いる場合は違和感を生じることもあり得る。また,指を動かす筋肉などは本製品では測定できない。これは,層状になっている筋肉の内側にある筋肉で発生した電位を測定する必要があるためという。

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