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阪大,次世代デバイスを作るボトムアップ技術として,AFMによる原子・分子操作法を提案

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2005/06/22 00:00
池幡 諭
出典:日経ナノテクノロジー, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
 大阪大学大学院 工学研究科 教授の森田 清三氏(写真)の研究室では,原子間力顕微鏡(AFM)を用いて室温で原子や分子を移動し,微細なパターンを作製できる技術を開発している。森田氏は,この技術が将来的に次世代のデバイスの製造に役立つと期待している。

 パソコン,携帯電話,その他の精密電子機器の性能は目覚しく向上し続けているが,それを支えている重要な要素の1つは,LSIの微細加工技術の進歩だと言える。研究段階では,最先端のCMOS LSIの設計ルールは2005年に32nmとなり,さらに約10年後には10nmに到達すると予想されている。10nmの設計ルールを実現するには,原子の大きさに相当する0.1nm(1Å)の寸法制度が必要となる。しかし,従来から続けられてきた,大きなものから微細なパターンを削る加工法(トップダウン技術)は限界に達している。今後の進歩はトップダウン技術だけでは実現が難しく,原子や分子を集合させて回路を組み立てる新手法(ボトムアップ技術)を組み合わせることが必要になると言われている。ボトムアップ技術は今のところ研究開発段階だが,これを実現させるためには,原子や分子を他の種類の原子や分子と識別する技術,原子や分子を自由自在に動かして組み立てる技術が求められる。

 森田氏は,AFMを用いた水平原子操作によって,すでに室温で原子埋め込み文字を作り出すことに成功している(関連記事)。これまで,走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた水平原子操作の研究は各地で実施されてきた。しかし,STMを用いる場合には低温でしか水平原子操作できないなどの問題があった。それに対し森田氏らは,AFMを用いる新手法によって,これまでにSTMより優れる次の点を確認できたと言う。
(1)室温でも水平原子操作できる
(2)絶縁体にも適用できる
(3)2種類の原子を識別して操作できる
(4)2元系での原子埋め込み文字を作成できる

 森田氏らが開発した技術を実際に産業で活用するためには,さらに複雑な材料系を対象とする研究が必要だが,ボトムアップ技術の1つして,様々な次世代ナノデバイスを作るツールとして有力な候補になる可能性もある。(池幡 諭)

【写真】2005年5月30日,阪大フロンティア研究機構が大阪市内で開催した第5回阪大フロンティア・シンポジウムでAFMを用いるボトムアップ技術を説明する大阪大学 教授の森田 清三氏
【写真】2005年5月30日,阪大フロンティア研究機構が大阪市内で開催した第5回阪大フロンティア・シンポジウムでAFMを用いるボトムアップ技術を説明する大阪大学 教授の森田 清三氏