2005年末商戦に,米Microsoft Corp.が次世代ゲーム機「Xbox 360」を,2006年春にはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が「プレイステーション3(PS3)」を発売する(Tech-On!関連記事1同2)。家庭用ゲーム機市場の2005年は,新世代機登場を前に,非常に予測の難しい年になる(図)。

 カギを握るのはSCEIの携帯型機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の生産量だ。PSPの生産台数は,立ち上がりの2004年第4四半期は約90万台で,2005年第1四半期には180万台と増加した。PSP向けに部品を供給しているメーカーの見方を総合すると,2005年初に2005年のPSP向けの部品調達は1800万台分あったという。発売が開始された2004年末~2005年初めはPSPの供給不足が深刻化した時期もあったが,その後は解消されたようだ。

 そして2005年第2四半期以降,PSPの生産台数が伸びると部品メーカーも期待していたが,部品の調達量は計画を下回った。実際,ソニーが2005年4月の業績発表時に公表したPSPの2005年度の販売台数計画は1200万台だった(Tech-On!関連記事3)。同社の年初の需要予測が高すぎたのか,自社で生産するキー・デバイスが不足しているのかは明確でないが,2005年6月時点では,部品メーカーの調達も,2005年通年の生産量で1200万~1300万台分程度にとどまっている。日経マーケット・アクセスは2005年のPSP生産台数を1380万台と予測する。

 携帯型機の一方の雄である任天堂は,これまでのところPSP登場の影響をほとんど受けていない。2004年末に投入した「ニンテンドーDS」は国内,海外ともに好調で,普及価格帯の「ゲームボーイ」シリーズも勢いを失ってはいない。日経マーケット・アクセスは任天堂の携帯型ゲーム機の生産台数を2005年通年で2040万台と予測する。

図●家庭用ゲーム機の世界生産台数の推移
(主要コンポーネントの供給状況を基に日経マーケット・アクセスが集計・予測した値。メーカー別シェアは2004年実績でSCEIが45.9%,任天堂が45.6%とほぼ拮抗した。2005年はPSPの効果が表れ,SCEIが51.5%,任天堂40.4%と予測した)

 任天堂の携帯ゲーム機がPSPに影響されなかった要因の1つがユーザー層である。任天堂は初代「ゲームボーイ」発売時から一貫して,携帯型機を子供/若年層向けと位置づけている。キャラクター・ゲーム用のプラットフォームというわけだ。逆にSCEIはゴルフやマージャンなどのゲーム・ソフトを柱に,映像ソフト再生機能を付加し,任天堂よりも高年齢層をターゲットする。この棲み分けがうまく行って,2005年の携帯型ゲーム機市場は対前年比で約2倍増となる。