Apple社CEOのSteve Jobs氏は, podcastingの創始者の一人であるAdam Curry氏が作成したpodcastをiTunesで再生した
Apple社CEOのSteve Jobs氏は, podcastingの創始者の一人であるAdam Curry氏が作成したpodcastをiTunesで再生した
[画像のクリックで拡大表示]

 米Apple Computer, Inc.が開催したWorldwide Developer Conferenceの基調講演で,CEOのSteve Jobs氏はパソコン向けジュークボックス・ソフトウエア「iTunes」を使い,いわゆるpodcastingによる音声コンテンツを再生する実演を見せた。Jobs氏は,2005年5月下旬に開かれた技術カンファレンスで,iTunesをpodcastingに対応させる意向を表明していた。podcastingは,個人や企業が作成した音声ファイルを,ブログなどで使われているRSSの仕組みを使ってインターネット経由で収集,ダウンロードして楽しむもの。

 Jobs氏はデモの中で,podcastingは「ラジオ版TiVo」になりつつあると位置付けた。現在,podcastingは世界で8000以上も行われていて,個人だけでなくABC NewsやBBC,Walt Disney社といったといった大手メディアも提供しているという。Jobs氏によれば,iTunesと同社の音楽配信サービス「iTunes Music Store」(iTMS)を組み合わせることで,podcastingによる特定の音声ファイルを探し,iPodへのダウンロードや同期を容易にするという。ただし,今回はこれ以上の詳細は明らかにしなかった。

iTunesケータイは登場せず


 Jobs氏の基調講演では「iPod Shuffle」の大容量版など,事前にウワサされたいくつかの製品発表はなかった。Apple社と米Motorola,Inc.が2004年7月に発表したiTunes対応携帯電話機も今回は登場しなかった(Tech-On!の関連記事1同2)。業界関係者によれば,iTunes対応携帯電話機の登場が遅れている一因は,iTunes Music Store(iTMS)で購入した曲をパソコン経由で携帯電話機に移すというビジネス・モデルを,携帯電話事業者に受け入れてもらうための説得にあるようだ。なお,Apple社のVice President of iPod MarketingのGreg Joswiak氏によると,iTunes対応携帯電話機の登場は今年後半の予定という。

 6月7日付の日本経済新聞が報じた,日本でのiTMSの開始に関する発表もなかった。日本法人のアップルコンピュータは「iTMSの開始時期には関知していない」(広報部)とする。「iTMSは米国本社の事業であり,日本法人が個別に動いているわけではない。本社が発表した内容ではないので,情報の真偽については回答できない」(同)。