左から,宣伝会議の田中里沙氏,NTTドコモの夏野 剛氏,ビットワレットの川合成幸氏,楽天の三木谷 浩史氏
左から,宣伝会議の田中里沙氏,NTTドコモの夏野 剛氏,ビットワレットの川合成幸氏,楽天の三木谷 浩史氏
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 携帯電話を使ったマーケティングの専門イベント「モバイルマーケティングカンファレンス2005」が2005年6月6日,東京都内のホテルで開催された。イベント冒頭のセミナーに登場したのは,NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野 剛氏,電子マネー・サービス「Edy」の運営会社ビットワレット 代表取締役社長の川合 成幸氏,楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷 浩史氏と,昨今話題を集める3人である。

おサイフケータイは370万台


 3人は,最新の市場動向を報告しつつ,今後の展望を示した。2004年7月に発売した非接触ICカード機能を内蔵する「おサイフケータイ(iモードFeliCa端末)」は,契約台数が370万台に達し,「iモードは当初1年間で約400万台だった。その普及ペースを上回っており,2005年中にも1000万に達するだろう」(NTTドコモの夏野氏)と期待する。先ごろ発表したクレジット・カード会社との提携については,現在の日本では売り上げベースで8%しかないクレジット・カードの利用率を携帯電話機との連携によってもっと上げていきたいと説明した。

 モデレータを務めた宣伝会議 編集長の田中里沙氏が「携帯電話のEPG(電子番組表)利用がきっかけでテレビをもっと見るようになるかもしれない」と,放送メディアとの連携について水を向けられると,「単にハードウエアを一体化するよりも,遠隔地からハードディスク装置(HDD)内蔵録画機の操作したりテレビを操作したりするなど,ユーザーの視点で無理のない融合を提案する知恵が必要」と,夏野氏が思い描く「通信・放送融合論」を語った。

Edyは1020万枚


 Edy機能を搭載するカードと携帯電話機の累計発行枚数は1020万枚に達した。このうち,Edy対応の携帯電話機の数は65万台で,「最近は1カ月当たり7万台~9万台のペースで増え続けている」(ビットワレットの川合氏)とした。特におサイフケータイの発売後,流通業界の反応が「いつか来るだろう」から,「どうせやるなら早くやりたい」に変わったという。各国で試行錯誤が続く中,日本で電子マネー市場が立ち上がりつつあることはエポック・メイキングな出来事だとして,さらに「電子マネーの市場規模が100兆円にもなる可能性が見えてきた」と期待を口にした。

楽天のモバイル経由の売り上げを15%に


 楽天の三木谷氏は,モバイル・ショッピングの売り上げは,現時点では全体の6.7%程度にとどまっているが「15%まで向上することを期待する」とした。携帯電話の利点である「いつでも」「どこでも」が生かせる場面として,「レストランで気に入ったワインや,ゴルフ場で試打したクラブなどをその場で注文できる」と紹介,「モバイルが今後コアになる」という期待感を示した。

 三木谷氏は,楽天のモバイル・ショッピング・サイトに出店した,ある宝石店の2004年12月の月間売り上げが6000万円を超えたことを紹介しつつ「年末には1億円以上になる店舗がいくつも出てくるだろう」との見込みを披露した。