<第54回 高分子学会年次大会報告3>阪大,電界紡糸法によるポリ乳酸ナノファイバーの不織布化とその優れた酵素分解性を報告
ポリ乳酸(PLLA)やポリブチレンサクシネート(PBS),そしてポリエチレンサクシネート(PES)は再生可能な材料であり,また,適合した酵素を用いることで,これら材料を分解することもできるため,当該材料の高機能・高性能化が極めて盛んになっている。また,ナノファイバーを用いた不織布は,医療用途のフィルム,膜材料としても注目されている。
そこで小山内氏らは,まず,PLLAを電界紡糸法によってナノファイバー化し,その不織布を作製した上で,酵素分解反応を行った。ナノファイバーの直径は数百ナノメートルである。実験結果から,酵素分解反応は,結晶化度が低いほど迅速に進行することが明らかとなった(写真1)。また,PLLAフィルムと比較しても分解反応の進行は顕著に速く,このことは,PLLAがナノファイバー化することで,非常に大きな比表面積を有するためであるといえる(写真2)。
また,小山内氏らは,ほかの生分解性脂肪族ポリエステルナノファイバーについても,不織布を作製し,適合する酵素を発見,分解試験を行っている(写真3)。いずれも,ナノファイバー化によって,酵素分解反応性を素材に付与できることを確認している。
小山内氏によれば,「ナノファイバーがアモルファスに近いほど,酵素分解反応を受けやすい」としており,今後,作製条件の更なる適正化とナノファイバー直径を細くする方法などを検討していくとしている。また,今回作製したようなナノファイバー不織布への機能性分子の担持による機能化の検討も行っている。(嶋田 行志)
注)小山内氏の現在の所属は,株式会社 バイオリーダースジャパン(大阪府茨木市,成 文喜社長)

【写真1】PLLAナノファイバーの結晶化度と酵素分解による重量減少の相関

【写真2】酵素分解の進行

【写真3】様々な生分解性高分子の不織布の走査型電子顕微鏡像
















