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<第54回 高分子学会年次大会報告3>阪大,電界紡糸法によるポリ乳酸ナノファイバーの不織布化とその優れた酵素分解性を報告

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2005/05/27 00:00
嶋田 行志
出典:日経ナノテクノロジー, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
 大阪大学 大学院 工学研究科 宇山研究室 特任研究員の小山内 靖氏(注)は2005年5月26日,横浜市で開催の高分子学会 第54回年次大会で,電界紡糸法で作製した生分解性脂肪族ポリエステルナノファイバー不織布が従来のフィルムよりも酵素分解性に優れていることを報告した。これは,ナノファイバー化することで表面積が増大したことによるものである。

 ポリ乳酸(PLLA)やポリブチレンサクシネート(PBS),そしてポリエチレンサクシネート(PES)は再生可能な材料であり,また,適合した酵素を用いることで,これら材料を分解することもできるため,当該材料の高機能・高性能化が極めて盛んになっている。また,ナノファイバーを用いた不織布は,医療用途のフィルム,膜材料としても注目されている。

 そこで小山内氏らは,まず,PLLAを電界紡糸法によってナノファイバー化し,その不織布を作製した上で,酵素分解反応を行った。ナノファイバーの直径は数百ナノメートルである。実験結果から,酵素分解反応は,結晶化度が低いほど迅速に進行することが明らかとなった(写真1)。また,PLLAフィルムと比較しても分解反応の進行は顕著に速く,このことは,PLLAがナノファイバー化することで,非常に大きな比表面積を有するためであるといえる(写真2)。

 また,小山内氏らは,ほかの生分解性脂肪族ポリエステルナノファイバーについても,不織布を作製し,適合する酵素を発見,分解試験を行っている(写真3)。いずれも,ナノファイバー化によって,酵素分解反応性を素材に付与できることを確認している。

 小山内氏によれば,「ナノファイバーがアモルファスに近いほど,酵素分解反応を受けやすい」としており,今後,作製条件の更なる適正化とナノファイバー直径を細くする方法などを検討していくとしている。また,今回作製したようなナノファイバー不織布への機能性分子の担持による機能化の検討も行っている。(嶋田 行志)

注)小山内氏の現在の所属は,株式会社 バイオリーダースジャパン(大阪府茨木市,成 文喜社長)

【写真1】PLLAナノファイバーの結晶化度と酵素分解による重量減少の相関
【写真1】PLLAナノファイバーの結晶化度と酵素分解による重量減少の相関

【写真2】酵素分解の進行
【写真2】酵素分解の進行

【写真3】様々な生分解性高分子の不織布の走査型電子顕微鏡像
【写真3】様々な生分解性高分子の不織布の走査型電子顕微鏡像