取締役社長の浦野文男氏
 ペンタックスは,減収減益の2004年度(2004年4月~2005年3月)決算を発表した(PDF形式の発表資料)。売上高は対前年度比0.7%減の1335億5800万円,営業利益は同48.3%減の35億8600万円である。同社取締役社長の浦野文男氏は,「減収減益の原因の7割はデジタル・カメラを中心とするイメージングシステム事業にある」とした。光ピックアップ・レンズの好調などにより,オプティカル・コンポーネント事業で30%程度の増益があったものの,主力事業の赤字をカバーするには至らなかった。同社は期初にデジタル・カメラの平均単価の下落率を10%程度とみていたが,実際にはこれを大きく上回る24%の下落があった。これに伴って,第4四半期には棚卸資産の評価損を特別損失として計上するなど,デジタル・カメラ事業の不振が同社の業績に深刻な影響を及ぼした。

営業利益の推移(四半期ベース,単位:億円)

 決算発表から一夜明けた2005年5月24日,同社は会社説明会の中で,2006年3月までにデジタル・カメラ事業を中心に300名の人員を削減する計画を発表した。「対象となるのは人件費の高い日欧米の人員。アジアの生産部門の人員については,1500人規模をいつでも自在にコントロールできる状態にある」(浦野氏)としている。このリストラに関わる費用は20億円,2005年度(2005年4月~2006年3月)と2006年度(2006年4月~2007年3月)を合わせたコスト削減効果は約18億5000万円になる見込み。

 同社は国内のデジタル・カメラ販売拠点を既に7拠点から3拠点へ削減した。これを受けて2005年度は大型電気店などの販路拡大に力を入れる方針だ。「コンパクト機種を発売から2~3カ月で安売りするのはもうやめたい」(浦野氏)としており,人員削減も営業部門からは行わないとする。製品系列についても,デジタル一眼レフ機の比率を高めて強化を図る。2004年度の販売実績が6万6000台だったのに対して,2005年度は12万台,2006年度は20万台以上を目標に掲げる。なお,同社のデジタル・カメラ全機種の販売台数は2004年度が210万台,2005年度目標が220万台,2006年度目標は270万台である。デジタル・カメラの平均単価の下落率を「2005年度は6%に抑えたい」と浦野氏は話す。

 イメージング・システム事業は,2004年度の16億1300万円の営業損失に続き,2005年度も26億円程度の損失を計上する見込み。ただし,2005年度下期からは,リストラ策などの効果が現れると同社はみており,2006年度には黒字化できる見通しという。こうしたデジタル・カメラの市況の悪化などに伴って,同社は2006年度までの中期経営計画を売上高で400億円程度,下方修正した。2005年度は売上高1380億円(対2004年度比3.3%増),営業利益45億円(同25.5%増),2006年度は売上高1600億円(対2005年度比15.9%増),営業利益100億円(同122.2%増)を目標とする。

中期経営計画における営業利益の推移(年度ベース,単位:億円,2005年度以降は目標値)

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