米Google Inc.の「Google Earth」ソフトウエアの画面。地形写真の上に道路情報といった地理情報を多重表示する機能を備える。左上にはGoogle社の検索サービスと連携したり,運転案内を出力するときのボタンなどを配している。「New Imagery Database」という説明の言葉は,現在のKeyhole社の製品に比べて画像データベースを新しくしたことを強調して同社が入れたもの。
米Google Inc.の「Google Earth」ソフトウエアの画面。地形写真の上に道路情報といった地理情報を多重表示する機能を備える。左上にはGoogle社の検索サービスと連携したり,運転案内を出力するときのボタンなどを配している。「New Imagery Database」という説明の言葉は,現在のKeyhole社の製品に比べて画像データベースを新しくしたことを強調して同社が入れたもの。
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 米Google Inc.は,報道陣向けのイベントを開催し,その中で新しいサービスや研究プロジェクトなどについてその一端を公開した(報道イベントの映像データ)。注目を集めていたのは「Google Earth」と呼ぶソフトウエアである。同社が2004年11月に買収した米Keyhole Inc.が開発しているソフトウエアと,Google社の検索機能を合体させたもの。人工衛星や航空機などで撮影した全世界の地形データを,ユーザーの手元のパソコンで自由に操れる。住所などを入力すると,その付近の衛星写真をすぐさま表示でき,画面上に道路のデータを重ね合わせて表示することもできる。

 従来のKeyholeのソフトウエアは,北米など部分的な対応だったのに対し,Google Earthは全世界に対応する。地域によって画像の解像度は異なるが,最も詳細な写真の場合は25cmの物体まで識別可能な解像度を持っている。

目的地までのアニメ表示も

 今回示したGoogle Earthのデモンストレーションでは,まず米オースティン市の空港を検索した。空港の画像が表示された後で5つ星のホテルを検索し,検索結果のリストから1つのホテルを選び,空港からそのホテルまでの運転ルートを表示した。同ルートに沿って出発地から目的地までアニメーション表示を行う機能も披露した。

 Google EarthはWindows対応のソフトウエアとして「あと数週間」(Google社)で出荷する予定という。画像データはインターネットを介して端末に送るので,利用するときは少なくとも128kビット/秒の接続速度が必要になる。英語版として出荷するが,ほかの言語に対応することも検討するようだ。現在,Keyhole社が販売している最も低価格なバージョン「Keyhole LT 2」は29.95米ドルだが,Google Earthの価格は未公開である。

もっと自然な翻訳結果を

 今回のイベントでGoogle社の開発研究所部門であるGoogle Labsは,オンライン自動翻訳の品質を向上する開発プロジェクトが存在することも明らかにした。多数の言語に対応し,自然な文書を出力できるという。

 Google Labsによると,きっかけはインターネットのWWWに,いわばロゼッタ・ストーンに相当する多くの文書が蓄積され始めたこと。例えば国際連合のサイトには,1つの内容を多くの言語に翻訳したファイルがたくさんある。こうした文書群をデータベース化して解析することで,新たな自動翻訳システムを開発したという。

 この翻訳システムについては今回,実演しなかった。しかし同社によると,既に自然な翻訳結果を得るところまで来ているという。例えば,あるアラビア語の文書を現行の自動翻訳ソフトウエアで英語に翻訳したところ「Alpine white new presence tape registered for coffee confirms Laden」という意味不明な文書を出力してしまった。しかしGoogle Labsの技術を使うと,同じ文書の翻訳結果は「The White House Confirmed the Existence of a New Bin Laden Tape」(ホワイト・ハウスは新しいビンラディンのテープの存在を認めた)となり,より自然な英語の翻訳結果が得られたとする。

 Google社によると,新しい自動翻訳システムの技術はアルゴリズムとして存在するので,新しい言語に対応するのは容易である。その言語のためのデータを入力すれば済むという。この自動翻訳技術の製品化予定についてコメントはなかった。しかし「Google社はこれまで,Google Labが開発した技術をすぐにWWWで公開したことも何例かある」と,実用化が近いことをほのめかしていた。