開発技術部 デザイングループの杉野氏
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Game Boy Micro
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 任天堂は,ゲーム業界最大の展示会「2005 Electronic Entertainment Expo(E3)」の会場に,先日発表したばかりの小型の携帯型ゲーム機「Game Boy Micro」を出展した( 関連記事)。会場中央のひときわ目立つ位置にあるショウケースは,手のひらサイズの新型ゲーム機をひと目見ようとする参加者であふれかえった。

 Game Boy Microの開発者によれば,端末の開発は数年前から始まっていたという。「ニンテンドーDSの前からスタートしている。Game Boy Microのコンセプトは,ゲームボーイ アドバンスSPに似ている。ゲームボーイの遊びの世界を,もっと広いユーザー層にアピールすべく開発した端末だ。小型で薄く,スタイリッシュなものを目指した。このため,子供も大人も持っていて違和感のないフォルムに仕立てた。例えば,大人が持ち歩きたくなるというコンセプトに沿って,端末の高級感を出すため,外装にはすべてAl合金を使っている」(Game Boy Microの開発に携わった任天堂 開発技術部 デザイングループの杉野憲一氏)。

 ポケット・サイズという大きさにもこだわって設計したという。「ゲームボーイ・アドバンス SPとほぼ同等の処理機能や使い勝手を備えながら,ポケットにすっぽり入るというコンセプトにした。なかでも,薄型化には徹底してこだわった。内部機能の半導体への集積化はもちろん,部品点数の削減,背の高い部品の採用を減らすといった工夫を盛り込んだ。これにより,液晶パネルやゲーム・カートリッジのスロットなどの制約がありながら,なんとか17.2mmを実現できた」(杉野氏)。

 様々な色や模様のフェイス・プレートを着せ替えられるようにしたのは,開発陣の強いこだわりだったという。「ゲームボーイ アドバンスでは,さまざまな環境で使われることから,液晶パネルの画面に傷などの汚れがつきやすい。開発者としては,内心残念に思っていた。それが,折りたたみ型のゲームボーイ アドバンスSPでは,傷が付きにくくなり,端末を比較的きれいな状態のまま使ってもらえるようになった。ところが,今回のGame Boy Microでは,また画面がむき出しになる。せっかく外装に高級感を持たせたのに,また汚れるのは忍びない。そこで,液晶パネルや操作ボタンなどを配置した面を,透明プラスチックのケースで覆うことにした。もし傷が付いたとしても,フェイス・プレートを交換すれば,また美しい筐体に戻せる」(杉野氏)。E3会場では,様々な模様のフェイス・プレートが展示してあった。任天堂はGame Boy Micro を,2005年秋には発売する予定という。

蓬田 宏樹=シリコンバレー支局


■次世代ゲーム機については日経エレクトロニクス5月23日号 What's Newで詳細をお届けしています。