<ナノ学会 第3回大会報告13>東北大,超音波を用いる金属ナノ粒子複合材料の低コスト・低環境負荷作製プロセスを開発
先進国の製造業の問題として,環境問題やエネルギーの枯渇,代替などがWEEE(電気電子製品リサイクル指令)やRoHS(電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令)などで挙げられる。そこで林氏は,汎用装置を使用し,毒が発生しないプロセスにシンプルで安価な装置とLE原料を使用し,地球環境に優しく安全な超音波を用いて,金属酸化物とアルコールから室温で貴金属ナノ材料の合成を行う汎用プロセスの提案と開発を行っている。
貴金属ナノ材料は,排ガスの浄化,ナノチューブなどの化学合成,燃料電池用触媒など,様々な分野で応用されている。現在,これらのナノ粒子は物理的手法と化学的手法により製造されているが,コストや環境面において問題がある。同氏は,これらの問題を解決するために,超音波洗浄機を反応場とし,金属酸化物とアルコールを原料として用いる低コストで低環境負荷のプロセスを開発した。
このプロセスでのナノ粒子の作製方法はシンプルである。ビーカー内で,原料である貴金属酸化物をエタノールと混合する。次にナノ粒子を担持させる担体をビーカー内に入れ,ビーカーに超音波を超音波洗浄機で照射するだけである。これは超音波により発生するキャビテーションが,数千度・数百MPaの反応場を短時間に局所的に発生させ,物理化学的作用を誘発させるためである。
林氏は,このプロセスで作るナノ粒子の様々な製品群を紹介していた。この中で,医療分野の例として,Ag(銀)ナノ粒子をコーティングした天然ゴムで作る手袋(写真)が,ポスター前に集まる人たちの目を引いていた。その他にも,排気ガスの浄化触媒のコンポジット,ガラス基板上へのナノ粒子のコーティングなどを紹介していた。林氏は,今後の展望として,「コーティングやコンポジットだけでなく,ナノワイヤーの作製も可能です」と本誌に述べた。(加藤 訓之)

【写真】東北大の林 大和氏がAgナノ粒子をコートした手袋を紹介したポスター
















