それは,まるで映画の予告編を見るかのようだった。「オーマイゴッド」,「アンビリーバブル」と,観客の叫び声が場内にこだまする。デモが終了すると,観客から自然と大きな拍手が巻き起こった——。
米国時間の2005年5月18日から始まった「2005 Electronic Entertainment Expo(E3)」の展示会場で,一際長蛇の列ができているのがソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のブースである。同ブースで開催されている,次世代ゲーム機「プレイステーション 3」の映像デモを一目見ようとする参加者だ。シアター形式の会場では,プレイステーション 3に向けてゲーム・ソフト・メーカーが開発中の,実写と見紛うばかりのゲーム・ソフトの映像を見ることができる。
映像デモでは,スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY」シリーズや,バンダイの「機動戦士ガンダム」,カプコンの「デビルメイクライ」シリーズの最新作など,大手ゲーム・ソフトのメーカーのデモ画像が目白押しだった。さらに,米Sony Pictures Entertainmentの映画「Spider-Man 2」の登場人物の顔を,プレイステーション 3の3次元グラフィックスで表現し,周囲の光や景色に合わせて顔の陰影や色合いが微妙に変化する様などを見せた。「瞳に写る,周囲の景色にまでこだわって作っている」(SCE)。SCEによれば,こうした画像の描画には,周辺情報も含めて0.5Tバイトほどの情報を使っているという。デモを見終わった後のある参加者は「凄いね。本当にスゴイ。これまでとは段違いだね」と興奮冷めやらぬ様子だった。
映像デモの会場を出ると,プレイステーション 3のモックアップが展示してある。色の異なる3台を,回転するショウケースに格納している。多くの参加者はそこで立ち止まり,デジタル・カメラでモックアップを撮影していた。