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HOMEスキルアップマネジメント > JEITAは「2011年に廃止せよ」,権利者は「Blu-rayも入れて」---私的録音録画補償金めぐり激論

JEITAは「2011年に廃止せよ」,権利者は「Blu-rayも入れて」---私的録音録画補償金めぐり激論

  • 金子 寛人=日経エレクトロニクス
  • 2005/04/28 16:11
  • 1/1ページ
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 2005年4月28日に開催された文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会は,いつもに増して激しい展開となった。焦点は,私的録音録画補償金(用語解説)の今後のあり方である。メーカー側と,コンテンツの権利者側がそれぞれ真っ向から対立する形の論陣を張ったのだ。

 メーカーの立場を代表する電子情報技術産業協会(JEITA)や日本記録メディア工業会などは,現在デジタル録音・録画機に対し賦課されている私的録音録画補償金を2011年をメドに廃止するよう提案した。一方,権利者側を代表する日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本芸能実演家団体協議会,および複数の権利者団体が共同で組織する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」などが,Blu-ray Discレコーダやハード・ディスク装置(HDD)録画機などを私的録画補償金の対象機器・媒体として政令指定するよう求めた(Tech-On! 関連記事1同 関連記事2)。

 法制問題小委員会は,文化庁の諮問機関として月1回程度のペースで開催されている審議会で,主に著作権法や関連法令について話し合う。この日の会合は,私的録音録画補償金に関する1回目の集中討議であった。

現行の補償金制度は「凍結」「拡大」で意見分かれる

 現行の補償金制度では,政令で指定した機器や媒体の購入者に対して補償金を賦課する。これに対しメーカー側は,私的複製の有無や頻度が個々のユーザーにより異なるのに一律に賦課するのは不公平感があると指摘した。これに加え,私的録音補償金制度が始まった1993年,私的録画補償金制度が始まった2000年当時(同 関連記事3同 関連記事4)と異なり,インターネット経由でのコンテンツ配信やコンテンツに対するコピー・プロテクト信号の付加といった仕組みが整ってきていることを挙げた。こうした仕組みにより,補償金制度に頼らなくても権利者に適切な収益をもたらす事業ができる環境になってきたとする。

 その上で,「補償金を賦課し,さらにコピー・プロテクトによる制約を加えることは,ユーザーにとって二重の負担になる」との考えを示した。このため,今後2年~3年かけて私的複製の今後のあり方を議論し,代替となる制度を考えていくことが必要だと主張した。現在の補償金制度は凍結し,今後指定機器・媒体の追加といった改訂をせず,将来の廃止に向けて議論することを提案している。

 権利者側も,将来的な制度の見直しの必要性には理解を示している。しかし,増え続ける私的複製に現時点で即応するため,今の補償金制度に指定機器・媒体の追加といった見直しを加えつつ,継続して運営すべきとの考えを示した。補償金の対象機器・媒体は1998年以降増えていない。そのため,デジタル録音・録画機による私的複製が増えている一方で,補償金の額は逆に減少していることを指摘した。米Apple Computer, Inc.の「iPod」やソニーの「ネットワークウォークマン」に代表されるHDD内蔵オーディオ機器は,市場規模が急速に成長している上,明らかに音楽を録音するための機器であると主張。これらを補償金の対象に指定しなければ,補償金制度そのものが崩壊するとした。

 映像関連でも,記録媒体としてHDDを使用する録画機やBlu-ray Discレコーダについて,市場規模が拡大していることから指定を急ぐべきと述べた。Blu-ray Discと並ぶ次世代光ディスク規格であるHD DVDのレコーダと記録用ディスクについては,「技術的には記録型DVDの延長上にあるので,新たに政令指定をするまでもなく,現行の著作権法施行令が定めている私的録画補償金の対象になると考えている」(デジタル私的録画問題に関する権利者会議)との見解を示した。

パソコンへの補償金賦課も論点に

 パソコンをはじめとする汎用機器に対する補償金賦課について権利者側は,「消費者が私的録音に使う機器のうち,CDやMDといった専用機器は49%で,パソコンは51%に達しているのが現状だ」(日本芸能実演家団体協議会),「消費者は従来,音楽をMDに録音していたのと同じ感覚でパソコンを使い録音している。(汎用機器を使った私的録音という問題が)現状の問題としてあるのに,それに向き合わないのはどうか」(音楽制作者連盟)などと主張,早期に補償金の対象とするよう求めた。これに対してメーカー側は「補償金は購入時に支払うものだが,購入時点で一律に徴収することの不合理さを説明できない。返還請求制度はあるが,実態として機能していない」(JEITA)と語り,双方の主張が真っ向から対立する形となった。

 委員による議論でも意見が分かれた。「私的録音の今後を考える,大局的な議論が必要ではないか」という意見がある一方,「HDDオーディオは明らかに私的録音に使われているので,制度全体の議論と切り離して良いのでは」との意見も出ていた。「米国では『iPod』と『iTunes Music Store』の登場後,音楽CDの売り上げが回復したというデータがある。現行の補償金にとらわれず,全体的な方向性を考える議論が必要では」との指摘もあった。

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