新型の37インチ型液晶テレビ。イメージ・キャラクターの加藤あいさんも登場
新型の37インチ型液晶テレビ。イメージ・キャラクターの加藤あいさんも登場
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 三菱電機は,液晶テレビ「REAL」シリーズの新製品7品種を発表した。液晶テレビ市場への参入が2004年と他社に遅れた同社は,今回の製品群によって巻き返しを図り,国内市場シェア10%は握りたい考えだ。

 今回発表した液晶テレビのハイエンド機には,周囲の明るさによって消費電力を最大で約50%削減できる機能を盛り込んだり,映像の色を12色にわたって調整するなど画像処理機能を高めたLSIを搭載した。2005年6月上旬に発売する。画面寸法は,37インチ型,32インチ型,26インチ型の3種類である。

 消費電力の削減は,照度センサを使って液晶テレビの周囲の明るさを検知し,バックライトの輝度を落とすことで実現する。例えば,37インチ型品の場合,通常150Wの消費電力を約75Wにまで減らせるという。同社はバックライトの輝度を切り換える照度について詳細な値は明かさなかったが,「夕暮れ時のリビング・ルームで室内照明を点灯した程度の照度になると,バックライトの輝度を落とすように調整してある」(三菱電機)としており,50lx~100lx程度のようだ。

 バックライトの輝度を落としたときの画面の暗さを懸念するユーザーもいることから,消費電力を約50%削減できるモードのほか,最大15%を削減できるモード,同35%を削減できるモードの合計3種類をユーザーが選べるようにした。映像の色調整については,従来は赤色,緑色,青色,シアン,マゼンタ,黄色の6色について独立に調整していた。今回はこれらの中間色を加えた。

 26インチ型~37インチ型の品種に搭載した液晶パネルの画素数は,いずれも1366×768である。2004年5月に発売した37インチ型品では画素数が1920×1080と業界最高水準で,1080iをIP(インタレース−プログレッシブ)変換して得る映像信号をそのまま表示できるようにしていたが,今回は画素数を落としたかたちだ。これについて三菱電機は,液晶パネルの調達先を変更したためとする。今回の品種は,シャープから液晶パネルを調達する。

 画像処理回路についてはルネサス テクノロジと協力し,従来は7個に分かれていたLSIを今回1パッケージにまとめた。このパッケージには画像処理LSIと64MビットのシンクロナスDRAMの2チップを実装している。パッケージの実装寸法は約20mm角で,216ピンのQFPに封止した。画像処理LSIには「量産技術が十分に確立している」(三菱電機)0.15μmルールのCMOS技術を使った。そのほか,0.13μmルールといった微細なCMOS技術を使わなかった理由として,「既にチップ面積を決める主因が,チップ周辺部に配置したパッドの大きさになっている」(同社)ことを挙げ,これ以上微細化して回路面積を小さくしてもチップ全体の面積への影響は小さいとした。