マクニカとマーキュリーシステムは,2次元(2D)映像を3次元(3D)映像にリアルタイムで変換する映像変換器「3D MAVE」を共同で開発,4月26日から販売を開始すると発表した。ビデオ・カメラで撮影した映像や,DVDプレーヤから出力された映像など既存のコンテンツを入力すると,立体視するための右目用と左目用の映像をリアルタイムで作成する。まず業務用としてアミューズメント,イベント,広告,医療などの分野に向けて売り込む。映像変換器の価格は標準仕様で30万円。

 今回,2Dから3Dへの自動変換プログラム開発をマーキュリーシステムが担当し,それをマクニカがハードウェア化した。画像処理LSIとしてFPGA(field programmable gate array)を新たに設計し,搭載している。3D化のアルゴリスムはマーキュリーシステムが約10年かけて開発したものであり,1画素ごとに奥行き方向の値(Z値)を抽出し,立体感を持たせる。「手前に浮いて出る他社の方式に比べて自然に見えるため,目が疲れにくい」(マーキュリーシステム代表取締役の江良一成氏)と言う。元の映像をあらかじめ加工する必要はなく,既存のコンテンツがそのまま使える。さらに,動画だけではなく静止画の変換も可能である。今回の製品では,720×480画素の30フレーム/秒の映像をリアルタイムで変換し,立体感の強弱を12通り変えられる。製品とは別に技術的なポテンシャルとして,「1枚の写真から100通りの角度の画像を作成でき,側面が回り込んで見えるような立体視も実現可能」(江良氏)という。

 ディスプレイは,基本的に右目用と左目用に別の映像を見せて立体視を実現する仕組みであれば,ほとんど対応できる。例えば,2台のプロジェクタをスクリーンに投射し偏光眼鏡を使って見る方式や,右目用画像と左目用画像を交互に出してシャッタ機能を持つ眼鏡と同期させる方式,眼鏡を使わずにディスプレイに内蔵させた視差バリヤで立体視を実現するシャープ方式などに画像処理フォーマットを合わせ込んでいる。

 今後の展開として両社は,1920×1080画素のHD(high definition)映像への対応や,普及価格を意識した家庭向けの映像変換器の製品化を検討していくという。

2次元(2D)映像を3次元(3D)映像にリアルタイムで変換する映像変換器「3D MAVE」本体
2次元(2D)映像を3次元(3D)映像にリアルタイムで変換する映像変換器「3D MAVE」本体
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