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 米Intel Corp.は,WindowsXPを搭載できる小型パソコンの試作機「Ruby」を公開した。Rubyは,小型・低消費電力に特化した携帯機器向けプラットフォームの研究開発に向けて試作したもの。5インチ型TFT液晶パネルの右に小さなキーボードを配置した構成で,PDAをひと回り大きくしたような印象である。

 実際Rubyは,PDA並みの手軽さでXP機を扱えるようにする試みの1つと言えそうだ。この試作機には,今までの小型WindowsXP機にはない特徴が2つある。1つは消費電力が低いこと。未稼働のデバイスの電力をこまめにカットすることで,消費電力を平均で8Wにまで抑えた。同じく小型のWindowsXP機であるソニーの「VAIO type U」の消費電力は25W前後。Rubyの性能の詳細が不明なため単純な比較はできないが,従来のノート・パソコン向けプラットフォームより大幅に消費電力を絞り込んだといえる。Intel社は,さらに電力制御を工夫することで「ハードウエア構成は変えずに,消費電力を5Wまで減らせる」とする。今回の試作機では連続動作時間は1時間ほどと短いが,これは2次電池の容量が1000mAhと携帯電話機並みに低いため。実際に製品化する際は「8時間は連続動作できるようにする」という。

 もう1つの特徴は,休止状態への移行と復帰を迅速に行えるようにしたこと。PDAのような感覚で電源をオン/オフできる。通常のWindowsXP機で休止状態に入る場合,DRAMのデータをハード・ディスク装置に転送するのに数秒~10数秒を要する。休止状態から復帰する際も同じくらい時間がかかる。かといって,DRAMのデータを保持したまま他のデバイスへの電力供給を止める「スタンバイ」機能を使うと,ON/OFFは高速にできるものの,スタンバイ状態の間常にDRAMに電力を供給する必要がある。Rubyが採った解決策は,DRAMのデータをHDD以外の不揮発なストレージに高速格納すること。これにより,休止状態のように電力をカットしつつ,スタンバイ状態並みの速度で復帰が可能になったという。データを格納するストレージについてIntel社は詳細を明らかにしてない。例えば,複数のフラッシュEEPROMチップを並列動作させて高速に書き込み・読み出しを行う,などの方法がありそうだ。

 機器の容積は365cm3,重さは450gと軽い。少しでも基板面積を小さくするために,ノース・ブリッジLSIとマイクロプロセサを1つのパッケージに封止する。内蔵するHDDは1.8インチ型の40Gバイト品である。5インチ型の液晶パネルはタッチパネル機能も搭載しており,スタイラスペンで画面上のキーボードにタッチして文字を入力することもできる。通信機能は無線LANやBluetoothに対応する。