激動の真っただ中にある通信業界−−。その入社式では,新入社員の若い感性に期待する経営陣の思いの発露が相次いだ。以下では携帯電話業界を中心に,各社の入社式における新入社員への訓示を紹介する。

「海図のない航海に出た」とNTTドコモ

NTTドコモの中村維夫氏(2004年6月の会見から)

 就任して初めて新入社員を迎え入れるNTTドコモ 代表取締役 社長の中村維夫氏は,チャレンジ精神を大事にして欲しいと語り掛けた。

 「携帯電話機業界は今,第3期目に突入しています。これまで第1期の創成期,第2期のデータ通信の世界を切り開いてきました。現在は,定額制サービスやおサイフケータイなど,未知の世界を開拓するする必要が生まれています。今は,いわば『海図のない航海』に出た第3期です。失敗をおそれず新しいものにチャレンジし,新たな世界を切り開いて欲しい」(中村氏)−−。

KDDIは「熾烈な競争を勝ち抜こう」

KDDIの小野寺正氏(2005年1月の決算発表会から)

 発足から満5周年を迎えるKDDIでは代表取締役社長の小野寺正氏が,事業環境の変化のスピードについて言及した。

 「皆さんが誕生した1982年ころ,日本の電気通信事業は電電公社(現在のNTT)が独占していました。家庭の通信機器は黒電話のみで通話料は高く,『電話は手短に』と言われていた時代です。それが今では競争が進展し,事業の環境や質がこれまでに経験したことのないスピードで変化しています。絶え間ない改革と確固たる前進の姿勢で,熾烈な競争を勝ち抜いていきたい」(小野寺氏)−−。

「反転攻勢の年だ」とボーダフォン

ボーダフォンの津田志郎氏(2004年8月の社長会見から)

 この1年,経営体制が慌ただしく変化したボーダフォンでは,代表執行役会長の津田志郎氏と代表執行役社長のビル・モロー氏がそれぞれ,新戦力となる新入社員への期待を語った。

 「2005年は『反転攻勢』の年です。我々の事業における重要なターゲットは,皆さんと同じ世代です。皆さんのフィーリングを大切にし,それを生かしていってほしい」(津田氏)−−。
 「皆さんは,ボーダフォン・グループ10万人の従業員に仲間入りしました。皆さんは,フレッシュなアイデアと感性にあふれています。力を合わせて頑張りましょう」(ビル・モロー氏)−−。

新卒採用のなかったウィルコム

 社名を2005年2月に変更したウィルコム(旧DDIポケット)は,本年度の新卒採用は無く,入社式は執り行われなかった。従って本年度は,新入社員への言葉も無かったもようである。