東芝,リチウムイオン電池の充電時間を1時間から1分に短縮。ポイントは負極のナノ粒子
今回,開発した新型リチウムイオン電池が,従来の電池にない優れた特長を持つ最大のポイントは,負極に採用した技術につきる。正極材料は,従来のリチウムイオン電池と同じコバルト系だが,今回の負極材料には非カーボン系の金属材料を採用。この負極材料は東芝が独自に開発したもので,粒径が数百nmのナノ粒子。バインダーを使わず均一に固定化する技術を開発することにより,初めて電極化に成功したという。また,このナノ粒子は,リチウムイオンをスムーズに吸蔵することができだけでなく,カーボンより熱安定性が高いため有機電解液を分解することがない。
このような新技術により開発された新型リチウムイオン電池は,次のような様々な特長を持つ。キャパシタに匹敵する急速な充電ができるが,これは通常の携帯機器のおよそ60倍以上のスピードである。また,ハイブリッド自動車で検討されている高出力型のリチウムイオン電池の出力と同等の高エネルギー密度を達成。体積当たりの出力密度は10kW/Lと高く,同様にエネルギー密度は150〜250Wh/L を持つ。繰り返し充放電における性能劣化もきわめて少なく,1000回サイクル後の容量低下は1%。従来の二次電池を超えるサイクル寿命性能を持っている。
温度特性も優れており,低温から高温の幅広い温度領域で高い性能を維持。例えば乗用車の場合,極寒環境でも安定した性能が要求されるが,今回開発した新型リチウムイオン電池はマイナス40℃という状況においても室温(25℃) の80%の放電容量を維持。高温環境下でも優れたサイクル性能を持っており,1000回繰り返しても容量低下は5%程度だという。
さらに,非常に充電時間が短いこともあり,高い入出力性能を高効率で行うことができる。特に,車両用の電力回生において非常に高いポテンシャルを持っている。これによって,エネルギーの有効利用ができるためCO2の削減にも効果があり,環境面でも貢献できる新しい技術として高く評価できよう。
今回,開発した新型リチウムイオン電池は,まず電力・産業用途などへの応用を考えており,2006年中に製品化の予定。将来的には,ノートPC,携帯電話などのモバイル用途も視野に入れているという。(佐藤 銀平)

【写真1】新型リチウムイオン電池のデモ。左がHDD プレーヤーのギガビートで,右が充電器にセットされた新型リチウムイオン電池の試作品(幅35mm×高さ62mm×厚さ3.8mm)。5秒の充電で10分程度の音楽再生が可能

【写真2】東芝が想定している新型リチウムイオン電池の応用例

【写真3】新型リチウムイオン電池の解説を行う東芝研究開発センター先端機能材料ラボラトリー室長の高見 則雄氏
















