出展した録画機。書き換え可能な媒体は日立マクセル製だった
出展した録画機。書き換え可能な媒体は日立マクセル製だった
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 日立製作所はCeBIT 2005において,開発中のBlu-ray Disc録画機を参考出展した。同機は2005年1月に米国ラスベガスで開催された「2005 International CES」にも持ち込んだものだが,このときは特定顧客などに披露するにとどまっていた。一般公開はCeBITが初めてという。

 CeBITでは,この試作機を使ってあらかじめ書き換え可能なBlu-ray Disc媒体(BD-RE媒体)に録画したHDTVコンテンツを再生するデモンストレーションを見せた。利用した媒体は日立マクセル製。カートリッジのない,いわゆるベアディスクの形態で,BD-RE規格のバージョン2.0に準拠したものと見られる。記録容量が400Gバイトのハード・ディスク装置(HDD)も搭載しており,HDTV番組をHDDに録画できる。BS/110度CS/地上デジタル放送対応のチューナや地上アナログ放送チューナも筐体内に収めた。

「ウルトラマルチ」に対応へ

 日立製作所は現在,2006年後半にBlu-ray Disc録画機を製品化する方向で開発を進めている。目標価格は20万円以下。光ヘッドは関連会社の日立メディアエレクトロニクスと,信号処理LSIはルネサス テクノロジと共同開発中という。記録再生装置は日立LGデータストレージが提供することになるもよう。日立LGデータストレージは現在,すべての記録型DVDフォーマットに対応した「スーパーマルチ」機を製品化しているが,開発中の記録再生装置も全フォーマット対応の方針を貫くようで,再生専用Blu-ray Disc媒体(BD-ROM媒体)の再生およびBD-RE媒体と追記型Blu-ray Disc媒体(BD-R媒体)の記録再生に対応する。同社はこれを「ウルトラマルチ(仮称)」と呼ぶ。決定はしていないものの,日立製作所のBlu-ray Disc録画機は,このウルトラマルチ機を搭載することになりそうだ。

現在はBD-REのみに対応

 ただし今回試作機に搭載した記録再生装置は,BD-RE媒体の記録再生のみに対応する。青紫色半導体レーザは日亜化学工業製で,対物レンズは1枚で開口数(NA)を0.85に高めたものである。記録符号化/復号化などを実行するデジタル信号処理回路や,RFアンプ回路といった,いわゆるフロントエンド回路の大規模な集積化はまだこれからである。現在のところ同社はチップ数について明かさないものの,多くのチップで回路を構成しているようだ。なお対物レンズについては現在,1つのレンズでBlu-ray Disc /DVD/CDの3世代の媒体に対応するか,Blu-ray Disc用とDVD/CD用の2レンズ構成にするかを検討中という。

 一方,試作機に搭載したAV(オーディオ・ビデオ)データを処理するバックエンドLSIは3チップ構成である。具体的にはHDTV対応のMPEG-2復号化LSIとSDTV対応のMPEG-2符号化/復号化LSI,HDDや光ディスク装置の制御や著作権保護処理を担うメディア・コントローラLSIを搭載した。


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