HSDPA対応のPCカードを実動作させるデモンストレーションを行った。
HSDPA対応のPCカードを実動作させるデモンストレーションを行った。
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ファイル転送時のデータ伝送速度を示した様子。下側のウインドウに「DL:1.46 mbps(=Mビット/秒)」と表示されているのが見える。
ファイル転送時のデータ伝送速度を示した様子。下側のウインドウに「DL:1.46 mbps(=Mビット/秒)」と表示されているのが見える。
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デモンストレーションの全体像。左側のノート・パソコンに挿入したPCカードがベルギーOption社製,右側のものがカナダNovatel社製である。
デモンストレーションの全体像。左側のノート・パソコンに挿入したPCカードがベルギーOption社製,右側のものがカナダNovatel社製である。
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HSDPA対応の無線基地局をNortel Networks社とSiemens社が提供して,デモンストレーションの実現を後押しした。
HSDPA対応の無線基地局をNortel Networks社とSiemens社が提供して,デモンストレーションの実現を後押しした。
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 英VodafoneグループのドイツVodafone D2 GmbHは,高速通信方式のHSDPA(high speed downlink packet access)に対応したPCカードによるデータ通信をCeBIT 2005で実演した。Vodafone D2社はドイツにおけるHSDPAの商用サービスを2006年初頭から開始する方針も表明した。

 Vodafone D2社が2006年初頭から提供するサービスはHSDPAの「Category12」と呼ぶクラスに準ずるもので,仕様上のデータ伝送速度は最大1.8Mビット/秒である。今回のデモンストレーションも,この仕様に基づくものである。HSDPA対応のPCカードを接続したノート・パソコンを利用し,無線回線で高速のファイル転送を実行した。データ転送速度の実効値は1.45Mビット/秒程度であった。「実演に用いたPCカードは開発中のもので,まだ性能を出し切れていない。製品化時には仕様上の最大データ伝送速度である1.8Mビット/秒を実現させる」(Vodafone D2社の担当者)。

 Vodafoneグループが商用サービスを開始する2006年初頭には,HSDPA対応の携帯電話機とPCカードが端末メーカーからそれぞれ製品化されるという。今回のデモンストレーションでは2種類のPCカードを利用しており,いずれもUMTSとGPRSのデータ通信にも対応する。開発元はベルギーOption N.V.とカナダNovatel Inc.である。なおPCカードのHSDPAの受信回路が採用するベースバンドLSIはQUALCOM社製とした。

 今回のデモンストレーションで利用したHSDPA対応の無線基地局は,Nortel Networks社とSiemens社が提供したという。2005年3月10日の実演ではNortel Networks社の基地局を利用していたが,3月11日の実現ではSiemens社のものを利用するという。「相互接続性についても問題ないことをアピールする狙いがある」(Vodafone D2社の担当者)。

 Vodafone D2社によると,HDSPのサービスが始まってから1年ほど後に,データ転送速度を最大3.6Mビット/秒に高めた携帯電話機やPCカードが登場する見込みだという。受信回路に用いるベースバンドLSIとして,「Category12」と呼ぶクラスに準拠した品種の実用化などが期待できるためだ。基地局などのインフラストラクチャは大幅な変更は不要である。その後も順次,データ伝送速度を最大7.2Mビット/秒(「Category8」に対応)や最大14.4Mビット/秒(「Category10」対応)へ高めていく方針という。


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