説明するソニーの出井会長
説明するソニーの出井会長
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左から,安藤氏,出井氏,Stringer氏,中鉢氏,井原氏。右の三人は赤いネクタイをしている。
左から,安藤氏,出井氏,Stringer氏,中鉢氏,井原氏。右の三人は赤いネクタイをしている。
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「(構造改革プログラムの)トランスフォーメーション60(TR60)をより加速していく」(新たにソニー 代表執行役 会長 兼 グループCEOに就任するHoward Stringer氏)。

 ソニーは,2005年3月7日に発表した新経営体制について説明する記者会見を開いた(関連記事)。新経営陣は,現在の経営陣が敷いた路線を継承し,より加速していくとの方向性を示した。

 冒頭に現在の代表執行役 会長 兼 グループCEOの出井伸之氏が,経営陣交代の趣旨を説明。「1995年に私が社長になって10年たち,今が最良の時期と判断した。TR60の目標にとどいていないのは残念だが,変革の種はまかれているし,確実に育っていると思う。ラグビー好きとしては,"One for All, All for One(一人はみんなのために,みんなは一人のために)"という言葉にあるように,チームワークが重要と考えている。(新経営陣は)強力なチームワークで引っ張っていって欲しい」とした。現在ソニー 執行役 副社長 兼 COOを務めている久多良木健氏が退くことを意識してか,「この陣容は私と安藤で考えて皆でディスカッションして決めたもの。くれぐれもお間違えなきよう」と,あらかじめ釘をさした。

 現代表執行役 社長の安藤国威氏のあと,新経営陣を代表して,会長に就任するStringer氏と新・代表執行役 社長 兼 エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏があいさつ。Stringer氏は,「今日は偶然三人とも赤いネクタイをしている」と,ソニーの出井会長が「勝負」のときに赤いネクタイをしめることに掛けて会場を沸かせ,構造改革プログラムのTR60の取り組みを加速していく考えを強調した。これまでレコーディング・メディア部門などを担当してきた中鉢氏は,「エレキ(エレクトロニクス部門)の復活なくしてソニーの復活はない」と抱負を語った。

 質疑応答の冒頭で出た「久多良木氏になくて,中鉢氏にあるものは何か」との質問には,「中鉢さんは,グッド・リスナー(良い聞き手)であるということ。いろんな人の意見を聞いて正しい判断を正しい時期にできるとみている」(出井氏)と回答。このほか久多良木氏の処遇に関しては,Stringer氏がゲーム事業における同氏の重要性を強調する程度にとどまった。「現在,ソニーの商品力が衰えているようだが」との質問には,「設計の力,モノ作りの力,マーケティングの力は衰えていない。ただし,消費者の視線に欠けていたかもしれない」(中鉢氏)として,体制の建て直しを図る旨を示した。