無線通信用ICの開発を手掛ける米RF Micro Devices,Inc.は,2005年2月28日,無線LAN用ICの新規開発を停止することを明らかにした(発表資料)。具体的には,IEEE802.11規格に準拠した無線LAN用RFトランシーバICの新規開発を取り止める。今後は,携帯電話機の無線回路向けのRFトランシーバICやパワー・アンプ,Bluetooth用ICなどの開発に注力するという。ただし,ゲーム機用の専用RFトランシーバICや,無線LAN用のパワー・アンプ,フロント・エンド・モジュールなどの事業は継続するとしている。同社は任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」に,無線通信用ICを供給するメーカーの1社として知られる。同社はゲーム機向けのRFトランシーバICの事業は継続するとしている。

 無線LAN用ICの開発取り止めについて同社は「より収益性の高い事業領域に特化することで長期的な成長性を高めるねらい」(米RF Micro Devices,Inc.)としている。2.4GHz帯を利用する無線LAN規格「IEEE802.11b」向けICでは,市場での価格低下が厳しく,同市場に取り組むメーカーにとっては収益率の低い事業として認知されつつある。既に老舗メーカーである米Intersil Corp.なども同事業から撤退している。RF Micro Devices社はより収益性の高い事業領域として,携帯電話機や無線LAN向け高周波回路部品への注力を強める。パワー・アンプや,高周波フィルタなどを集積したフロント・エンド・モジュールなど,同社が強みを持つ分野に集中していくという。