NTTドコモはPHSサービスの終了を公式に表明したこと(Tech-On! 関連記事)に伴い,現行のPHSサービスのユーザーに対する救済措置の概要を明らかにした。同社がPHSで提供している定額制のデータ通信サービスに関しては実質的に移行先がない状態となり,ユーザーは同様のサービスを提供する他のPHS事業者や,無線LANなど他方式によるデータ通信への移行を迫られそうだ。

 救済措置として同社が検討しているのは,(1)第3世代携帯電話サービスの「FOMA」端末,またはPDC方式の携帯電話である「ムーバ」端末を市販価格より安く販売する,(2)PHSサービスの契約期間をFOMAやムーバへの移行後も通算し,継続利用割引を適用する,(3)FOMAやムーバの契約にかかる手数料を徴収しない,といったものである。ただし,「今日の時点では中村維夫 代表取締役社長が方針を述べたに過ぎず,詳細について決定したわけではない」(NTTドコモ広報部)としている。

新番号の音声ガイダンスを検討中

 PHSユーザーが使用している「070」で始まる電話番号は変更になる。PHSの音声端末のユーザーが携帯電話へ移行する場合,新番号を家族や知人などに自分で知らせる必要がある。同社はこの手間を軽減するため,移行先の携帯電話番号を通知するサービスを検討している。解約後のPHSサービスの電話番号に着信した場合,音声ガイダンスで「080」または「090」で始まる携帯電話の新番号を知らせるものだ。なお,旧番号への着信を新番号へ自動転送するサービスは提供しないもよう。

 NTTドコモはPHSサービスの一環として,パソコン向けのデータ通信サービス「@Freed」を月額5124円または年額5万400円の定額で提供している。こうした定額制データ通信サービスについては実質的に移行の対象外とする見込みだ。同社はFOMAのユーザー向けに定額制のデータ通信プランを提供中だが,これは適用となるデータ通信がコンテンツ・サービス「iモード」に限定されている。パソコンを接続して実施するデータ通信には適用されない。同社は「PHSのデータ通信サービスからの移行ユーザー向けに特別な料金プランを提供することは検討していない。あくまで現行のFOMAやムーバの料金体系に入っていただく方向で考えている」(NTTドコモ広報部)との方針を示している。


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