EPG起動時間の比較テスト。ソニー製DVDレコーダ「RDR-HX90」と比較した。ソニーの録画機は10数秒かかった
EPG起動時間の比較テスト。ソニー製DVDレコーダ「RDR-HX90」と比較した。ソニーの録画機は10数秒かかった
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高解像度録画のデモ。新型DIGAの長時間モードで録画した場合
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他社製DVDレコーダの長時間モードで録画した場合
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 松下電器産業が2005年2月24日に発表した新型DIGAは,電源投入後に1秒でHDDやDVD-RAM媒体に録画を始める機能や,長時間モード(LPモード)でも水平解像度500本を維持する機能を備えている(Tech-On!関連記事)。同社は,これらを実現するための方法について解説した。

 1秒起動を実現するために主に以下の3つの工夫を施した。(1)ソフトウエア処理の並列化,(2)記録再生装置の起動時間の短縮,(3)DRAMによる録画データのバッファリングである。

1GビットのDRAMを搭載

 (1)については,光ディスク装置の起動やLSIの初期化,DRAMの立ち上げ作業などを並列化したという。例えば符号化/復号化LSIのマイクロコードのパラメータを初期化したり,DRAM上にマイクロプロセサの作業領域を確保したりする作業を同時に行う。(2)で焦点になるのは,HDDよりも起動に時間のかかる光ディスク装置である。例えば記録特性に関わるパラメータを保持しておくことで試し書き工程などを省いた。光ディスクを識別する時に照らし合わせていく媒体の順序も状況に応じて変えているという。この結果,記録再生装置の起動時間をHDD並みの10秒程度まで短縮した。しかし,記録再生装置の起動が完了するまでは録画を始められない。そこでこの間は(3)に示したバッファ用のDRAMに録画データを蓄積していく。このDRAMは追っかけ再生用に搭載しているものを流用する。バッファ・メモリはDDRモード付きシンクロナスDRAMで,容量は1Gビット(512Mビット×2個)という。

 起動時間を短縮するためには「クイックスタート」モードをオンにする。このモードの時は,DVDレコーダが待機状態でも符号化/復号化LSIやマイクロプロセサなどの一部の回路ブロックには電源供給を続けてLSIの立ち上がり時間を短くする。この結果,待機時の消費電力はクイックスタートがオフの状態よりも高くなる。品種によって異なるが待機電力は8W~10W程度。消費電力を節約したい場合は,このモードをオフにすれば2.5W~3.5W程度に下がる。

複数条件で仮想符号化

 高解像度録画については,LPモードで録画した場合もフルD1(704×480画素)を維持した。従来機はハーフD1(352×480画素)に低下させていた。符号化処理の対象となる画面画素数が増えても符号量を2.5Mビット/秒(映像データ+オーディオ・データ)を維持するために,MPEG-2の動き予測の正確さなどを高めている。詳細は明らかにしていないがマクロブロック単位で符号化処理を途中段階まで行い,歪みや符号量を想定する。この作業を,量子化パラメータなどを変えた複数条件で同時並行的に行い,フレーム単位やGOP(group of pictures)単位で画質を判定して条件を確定するという。