図1 DCR-PC55
図1 DCR-PC55
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図2 片面実装のプリント配線基板。基板中の空いた個所に0603部品を実装しているのが分かる
図2 片面実装のプリント配線基板。基板中の空いた個所に0603部品を実装しているのが分かる
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図3 上が従来のカメラ・モジュールで下が今回のカメラ・モジュール。今回もモジュールはカメラ駆動回路をフレキシブル基板の上に実装している
図3 上が従来のカメラ・モジュールで下が今回のカメラ・モジュール。今回もモジュールはカメラ駆動回路をフレキシブル基板の上に実装している
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図4 筐体下部に作った三脚固定用のネジ穴
図4 筐体下部に作った三脚固定用のネジ穴
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図5 カセット挿入部。左端をカットしてネジ穴用の空間を用意した
図5 カセット挿入部。左端をカットしてネジ穴用の空間を用意した
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 ソニーが2005年3月10日に世界最小をうたうDV方式ビデオ・カメラ「DCR-PC55」の発売を開始する(Tech-On!の関連記事)。従来製品に比べて容積を15%小さく,重さを25%軽くした(図1)。小型化するに当たり,プリント配線基板とカメラ・モジュールにそれぞれ工夫を施した。

 プリント配線基板は従来の両面実装から片面実装に切り替えた。プリント配線基板は従来と同じ8層を使用した。両面実装から片面実装に切り替えたことでプリント配線基板の厚みを従来の約2.3mmから1.5mmに削減するとともに,部品点数を10%削減したという(図2)。具体的にはLSIの集積度を上げたり,抵抗やコンデンサなどの受動部品を小型化したりした。従来製品の場合,使用する受動部品は外形寸法が1mm×0.5mmのいわゆる「1005部品」が主だったが,このうち半分を「0603部品」に切り替えたとする。実際のプリント配線基板を見ると,基板中の空いた個所にうまく0603部品を実装しているのが分かる。0603部品に切り替えなかった残りの1005部品についてはキレイに整列して実装した。

 現在,少しずつ市場に出回っている「0402部品」を使えば,さらなる小型化を実現できるものの,具体的な導入時期については未定という。「0402部品を1個,2個実装する程度なら今でも可能だが,量産レベルで実現しようとするとまだ課題は多い。例えば,ハンダ付けをするためにプリント配線基板をリフロー・ハンダ付け装置内に入れると,装置内の熱風で部品が吹き飛んでしまうことがある」(ソニー パーソナルオーディオビジュアルネットワークカンパニー デジタルイメージング事業本部 パーソナルビデオ事業部 設計1部 1Gp プロジェクトマネジャーの海老根 信人氏)。

 このほか,68万画素のCCD型固体撮像素子を利用したカメラ・モジュールも従来比で25%容積を削減した(図3)。小型化を実現した技術について同社は詳細を明かせないとしたが,モジュールの外観を眺めると従来はリジット基板の上に実装していたCCD駆動用回路を,今回のカメラ・モジュールではフレキシブル基板の上に実現するなどして,省スペース化を図っていた。

 今回のこの製品は小型のビデオ・カメラでありながら3脚を固定するためのネジ穴を用意しており,こうした点がWWWサイトなどでも一般消費者から評価を受けている(図4)。ソニーの海老根氏によると,DVを挿入するカセット部の形状に変更を加えるなどして,小型化したことが功を奏したという(図5)。(伊藤 大貴)