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 NECエレクトロニクスは「3GSM World Congress 2005」で,オーディオ符号化技術「enhanced aacPlus」に対応するICによる音楽再生デモンストレーションを行った。enhanced aacPlus を使うと,伝送速度が24kビット/秒でサンプリング周波数44kHzの楽曲を伝送できる。このため,「データ伝送速度がさほど大きくない携帯電話網を使っても,CD並みの音質を伝送できる」(NECエレクトロニクス)という。

 enhanced aacPlusは,NEC,松下電器産業,スウェーデンCoding Technologies社が推進するオーディオ符号化方式の最新版。その名のとおり,既存のaacPlusを改良したものである。aacPlusは,動画圧縮形式MPEG-4で使われる音声圧縮方式の1つで,2003年3月にMPEGが標準化した。

 今回の3GSM World Congress 2005では,音楽再生機能を持つ携帯電話機の発表が相次いだ。その多くは携帯電話機メーカーによるものであり,米Apple Computer,Inc.の「iPod」と同様に,インターネット経由でパソコンにダウンロードした音楽をメモリ・カードに移し,携帯電話機を使って聴くことを想定している。ところが,これでは携帯電話事業者の収入にはつながらない。このためNECエレクトロニクスとしては,通信料収入を上げたいと考える通信事業者に同方式を使った配信ビジネスの展開を提案する考えだ。

 ちなみに携帯電話機向けの音楽配信サービス「着うたフル」を提供しているKDDIは,「HE-AAC(High Efficiency-AAC)」と呼ぶ符号化方式を採用している。