携帯電話業界最大級のイベント「3GSM World Congress 2005」が,2005年2月14日に開幕した。初日の基調講演に立ったのは,スウェーデンEricsson社CTOのHakan Eriksson氏。同氏は,16の国が新たにGSMをベースとする携帯電話サービスを始めたこと,3億の加入契約を新たに獲得するなど2004年も引き続きGSM市場が拡大したことを紹介した後,HSDPA(high speed downlink packet access)など高速サービスの導入により,モバイルにも「トリプル・プレイ」が実現するだろうとした。トリプル・プレイは,固定通信事業者がブロードバンド回線を導入するに当たって使っている用語であり,1本の回線を使って「電話」「データ通信」「動画配信」の3種類のサービスを提供できるようにするものである。

 HSDPAは,下り回線(ネットワークから端末方向)について最大14.4Mビット/秒の伝送速度を提供するサービスだが,同氏はさらに上り回線速度が1Mビット/秒と高速の「HSUPA(high speed uplink packet access)」が2004年末に規格化されたことと,「Super 3G」の検討が2004年11月に始まったことを報告した。

 同氏は,ネットワーク・サービスについて遅延時間を短くすることが重要だと強調した。ユーザーが評価するネットワークの「パフォーマンス」は,実効的なデータ伝送速度(スループット)だけでなく遅延時間と合わせて決まるものだとした。HSDPAの遅延時間は100ms程度である。さらに,Super3Gでは,下り50Mビット/秒,上り1Mビット/秒という伝送速度に加えて,遅延時間10msという目標を掲げて規格化作業を行っているという。Super 3Gの完成時期は2007年が予定されている。

 動画配信(TV)サービスについては,今後マルチキャスト型のMBMSや,DVB-Hが導入されるという見通しを語った。

モバイルでも「トリプル・プレイ」
モバイルでも「トリプル・プレイ」
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HSDPAでTV型サービスが可能に
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アップリンクを高速化したHSUPAでも先行,とアピール
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